第134期 #12
色々な人生
別に誰に自慢したいと思って
生きている訳じゃないけれど。
いいんだよ。どうせ頑張ったら、
頑張った分だけ自分に返ってくるんだから。
昔の友人達の夢を見た。中学時代の友人、会社の同僚、
色々な友人達が一堂に会して、僕の周りを取り囲んでいた。
今も仲のいい友人の姿は無い。
昔、仲の良かった者もいれば、
曖昧な距離感だった者も多い。
見たことのない顔の友人もいる。
夢には出て来なかった、下着姿の女は、
こちらに体を向け眠っている。
家守の糞の落ちた部屋隅、
開けっ放しの窓。
黄ばんだカーテンが風になびいている。
ベランダに出て、外を見た。星空だった。
足の裏に、ほこりが付く。
電気を付けぬまま。夜眼が利く。
三日月。仰ぐ瞬く星が、うごめいているようだった。
彼らは、今の僕を見て、どう思うか。
--
彼のいたベッドから、頭に鹿の頭蓋骨を持つ死神が現れた。
そのまま暫く、部屋に居憑くようになった。
何も語らずにたたずむ。
視線は部屋の中を、どこでもなく、動かない。
ソファーで一人、スコッチを開けて。
着たままドレスのまま、グラスと共に崩れ落ちて。
暫く前に撫でられた髪の毛が、背中の下に引きずり込まれ、
頭の皮をぐいっと、引っ張られる。
目玉をひんむけば、希望しない様。
そのまま仰ぐ、団地の空
痩せ細った三日月と見詰め合う。
力の入らない、私の体からは、女の子が姿を現し、
白い服、黒い死神の隣でたたずんでいる。
しゃべらない。私はずっとあの子のことを、考えていたことを、
私は気付かなかった。
何枚もの写真を残してあるかのように、
想像の記憶がフラッシュバックする。
一輪の花を添えて、
貴方とずっと一緒に居たい。
部屋はたたずむ死神と子供、三人の夜。
--
時は愛も哀もIも流したから。
いつか陽が昇って
空を見て、昨日のことを忘れたら。
さよなら貴方、さよなら死神。
部屋は私、一人の部屋。