第129期 #7
わたし、授業聞いていたら、だんだん心臓がどきどきしてくる。手がぶるぶると震えて、ひざの上でそろえても震えるから押さえていた。
まわりの友達は黒板を見てたり、ノートや教科書に何か書いてた。わたしみたいになってるのはわたしだけだった。
先生に助けてほしかった。けど、先生は黒板に算数の問題を書き写していて、わたしたちを見ていなかった。わたしは先生が書き終わるまで待っていた。
先生は「これ答えられるひといるかなあ?」と言った。和也くんが手を挙げていました。直人くんも。ミサちゃんも手を挙げました。わたしは手をあげられなかった。
先生はわたしに気づいていませんでした。
わたしは下敷きであおいでいるひと何人もいたからマネした。風はぬるくて、手が震えて、自分の手ではないみたいでいやになりました。
がまんできなくなるまでここにいないといけないと思ったら、がまんできなくなってきました。先生は教たくの側に立って、黒板の方を見ていました。わたしは先生の側に歩いていきました。
「先生」
「あれ、そらちゃんどうしたの。立っていたらいけないでしょう」
「ごめんなさい。でも、具合がおかしいの」
先生は心配げにわたしのおでこに手を当てました。先生の手はわたしのおでこより大きくて、じっとりとしていた。
「そらちゃん、お熱あるよ。保健室にいかないと」
そういうと先生はわたしの手をひいてろうか側へいこうとしましたけれど、わたしは、手がこわくて、床にすわってしまいました。
先生はとまどっていました。ごめんなさい。保健室に連れていかれて、早退しました。おかあさんが迎えにきてくれました。
これがわたしが学校へ通わなくなった日です。