# | 題名 | 作者 | 文字数 |
---|---|---|---|
1 | 川を見に行く | 白熊 | 910 |
2 | iPodがなくなってんて、俺の | なゆら | 919 |
3 | 迷宮 | 悠介 | 580 |
4 | そもそも妖精稼業とは | 岩西 健治 | 976 |
5 | 赤面家計簿 | 豆一目 | 997 |
6 | ダーン | qbc | 1000 |
7 | 春の夜 | こるく | 1000 |
8 | 運命のもやい | えぬじぃ | 1000 |
9 | お花畑といっしょ | あかね | 1000 |
外で遅い晩ご飯を済ませた帰りに、川を見に行きたくなって、その足で、自転車で、大通りを北へと上って行った。川は、三十分程行った所で、道と交差する形で延びていた。
ほとんど車は走っていなかった。道沿いの、店の軒先の街灯が、町を黄色く照らしていた。いつもは排ガスの、淀んだ空気が漂うこの道も、この時は空気が澄んでいて、寒くもなく、暑くもなく、自転車の上で受ける風も、あまり気にならなかった。
一人でいる自由を、誰かにも、ふと、感じてもらいたくなり、自転車を止めて、ズボンのポケットから携帯電話を取り出して、この前一度だけ寝た友人に、「ちょっと出てきて」とメッセージを送った。
暫く行くと、女の子らしい柄の寝巻きを着た友人が、一人道沿いに立っていた。眠たげな表情の友人を乗せた自転車は、ペダルが重たくなり、涼しくはないが、顔に当たる風も、意識させられるようになった。自転車を漕ぎながら、友人を呼んだことを、少し後悔しつつも、大通りを北へと上って行った。
道が二手に別れた先に、幅二百メートル程の川が現れた。その手前で自転車を降り、砂利道を少し歩いた。川の実態は、ミルクの混ざったコーヒー色だが、夜はコーラのように、玉の一粒一粒を輝かせて、遠くの向こうの川辺にあるレストランや街灯の光を、静かな波の表面に輝かせていた。
一人、川と対峙する幸せを感じた。その幸せを感じるのに、友人の存在は関係なかった。友人の存在は自分の幸せには影響を与えなかったが、少し離れた石の上で、僅かな風を、気持ち良さげに受けている友人を見て、その分少し、変に達成感もあった。
後日、友人は知らない男と籍を入れ、二人の子供を儲けた。今はその子供達も成人し、巣立って行ったが、僕は変わらず自転車に乗って、外へと遅い晩ご飯を食べに行く生活をしている。
一人で見に行っても、友人と見に行っても、感じる幸せに関係は無かったが、初めて友人と川を見に行ってから三十年の月日が経った今も、僕は外で遅い晩ご飯を食べた後、ふと川を見に行きたくなれば友人を呼び出し、「あなたと居ると、いつも同じ日に帰るわ」と言う友人を自転車の後ろに乗せて、寝静まった町を抜けて、川を見に行く。
iPodがなくなってんて、俺の。たしかに置いたはずやし、このゾウガメの甲羅の上に。いやゾウガメは動くからって言うけども、すっごい安定感、もう石の上にも三年、ってかんじの安定感やったんやから絶対におちひん。だいたいゾウガメなんてのろいやろ、動いたとしても、だから落ちるわけない。んでゾウガメが今そこにおるんやから俺のiPodがなくなるわけがないやろ。つまりや、誰かが取ったってことやろ、それが誰やってこと。いまのうちなら俺もそれほど怒らへん。いまのうちはな。でももうすぐ怒り出す、怒り出すよ俺、ほんまに怒り出すからきいつけたほうがええわ。俺が怒り出したらそらゾウガメに乗って暴れ出すからな。ゾウガメをスケートボードのように扱ってすいすい暴れるその様はケルベロスそのものや。ケルベロスっていう化け物を俺はよく知っている。親父からきいてん。ケルベロスは怖い。親父は会ったことがあるっていうとった。親父はケルベロスに炎吐きかけられてひどいやけどをしたって言うとった。怖い化け物やけど、熱い心を持っとる。駅伝でメンバーに選ばれたときには最後まであきらめへんかった。だんとつでびりやけどまだあきらめてへん。まだ勝てると思っとる。それがケルベロスや。ケルベロスであり俺である。炎吐きかけられたなかったら正直に名乗りでてんか。たのむわ、ほんま。ケルベロスも忙しいねんて。わかった。言わんでもええわ。いったん目をつぶるから、その間にここに置いたって。返してくれるだけでええ。難しいことやないやろ。いくで、目、とじるで。はい。閉じたで。置かれた雰囲気ぜんぜんかんじんで。そうか、きっかけがほしいか。よし、10数えるで。10数えたら目開けるで、それまでに置いたって。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、数えたで。開けるで。ほんまに開けるで。念のためもう1回10数えとくわ。むような争いは避けんねん。石橋を叩いてわたんねん。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、数えたで、置いた?置いた?置いたな。よし、開けます。開けさせてもらいます。はい、俺、ひとりきり。iPodも内ポッケにあります。出します。バナナマンのポッドキャストを聞きます。少し楽しくなる。
私は、気付けば迷宮に居た。
薄暗い廊下だった。だが、その空間はねじれ曲がっていた。天井は私の足の下に存在し、床は私の頭上1m程の所にあった。
奥の方から、上下が反対になった招き猫が歩いて来た。身長は100m程だった。何故こんな巨体が、この廊下に収まり切るのだろうか。私は自分の足元を見た。床は先程までの場所には無く、私の足の下には、もはや何も無かった。
天井(いや、この場合、床と言った方が正しいだろう)を突き破り、恐竜が現れた。音はしなかった。招き猫が、恐竜に歩み寄った。招き猫が1歩足を踏み出す度に、ドシン、ドシンと言う轟音が響いた。その音は、筒抜けの私の足元へ抜けていった。音は消えては鳴り、また消えては鳴りと言う繰り返しで、廊下に反響していた。
恐竜が、招き猫に食らいついた。招き猫の頭が、潰れた。中から、白い豆腐のような脳味噌が溢れ出した。それと共に、緑色の血液が私に掛かり、蒸発した。緑の血は、天井の位置にある床に張り付き、アメーバのように変化した。
恐竜は招き猫を食い尽くすと、ちょんまげの力士に変わった。私に飛びかかった。私は6000万m程の長さの足で、力士を蹴った。力士は廊下の壁に吹っ飛び、ぐちゃぐちゃになって消えた。
嗚呼、今日は私の頭は狂っているようだ。少し、寝る事にしよう。
私は、横になり、目をつぶった。
私は、気付けば迷宮に居た。
「こうは考えられないでしょうか。あなた様から見ればわたしは小さくちっぽけな存在かもしれませんが、あなた様がわたし程の大きさだったら、目の前にいるのは妖精ではなく巨人なのではないでしょうか?」
「そんなへりくつを聞いてんじゃないの。わたしが聞いてんのは何でわたしのお風呂を覗いたかってことよ」
「覗いたわけではありません。お風呂に入ろうとして、たまたまあなたと鉢合わせになっただけです」
「でもあんたって見るからにおじさんじゃない。おじさんだったら十七のわたしを普通覗くんじゃない? それに家族じゃないし、初めて見たし、小さ過ぎるし、目つきがいやらしそうだし、おじさんだし、ぜったい五十超えてる顔だし、好みじゃないし……」
「確かにわたしはおじさんです。でも、生まれたときからこの姿なんですから仕方ありませんよ。好きでやってるわけじゃないんですから」
わたしはトランクス姿の、俗に言う妖精を捕まえた。手頃な入れ物がなかったので、夏に使っていた丸い金魚鉢、夏祭りの夜店で買った金魚が死んじゃって、今はもう空家の金魚鉢、それを逆さにして俗に言う妖精を捕まえたのだった。
わたしはお風呂に入っていた。その証拠に髪の毛は濡れていて頭にバスタオルも巻いている。わたしは湯舟に浸かり鼻歌を歌っていた。微かな物音、お風呂のすりガラスにネズミ程の大きさの影が映って驚いた。鼻歌を止め、物音に聞き耳をたてる。やがて物音は男の声に変わり、ネズミ程の影は人間の形になった。
それが妖精だと気付いたときには既にわたしは金魚鉢を握りしめていた。そのあとは音のない連続、どういう動作で捕まえたかは覚えていない。たぶん素っ裸で駆け回ったことだろう。
「そうだっ、警察。電話」
「ちょっ、ちょっと待ってください。そもそも警察はニンゲンを捕まえるものですよ。それに電話口で妖精捕まえましたなんて言うんですか?」
「じゃあ、どうすればいいのよ。こんな夢みたいな現実、信じられる? それにあんたって小さいけど姿形は人間そっくりだし、ほら良く警察って動物園から逃げ出した猿やペットで飼われてたニシキヘビなんかを捕まえるじゃない。あれと同じよ」
「とりあえず冷静になりましょう。こうして巡りあったのも何かの縁なんですから。それに……大変申し上げにくいのですが……前……はだけてますよ」
妖精は驚く程冷静に言った。
病気して、働けなくなった。結果、妻が働くことになった。
それで私は主夫になり、初めて家計簿を書くことになった。
と書いたら、それを見た妻が「家計簿は『つける』ものです」と細かいことを言ってきた。
と書いたら「そんなことまで備忘欄に書かなくて良いです」と更に言ってきた。
ここから先のやりとりは省略するとして、さて家計簿である。妻は「貴方は、毎月の生活費のやりくりをお願いします」と言った。生活費は月十万が目安ということだ。
差し当たって家計簿に書き込むのは食費、光熱水料、ガソリン代、あとは雑費位だろうか。雑費というのは便利な言葉だ。
私が勤めていた頃は、どんな些細な物でも品名型番つきで表されていた。雑草という名の草はないとは言うが、これからは雑費という名の雑費も許されるであろう私である。少し心が踊った。
「貴方。この雑費三万の内訳は」
妻の追求は会計検査院の人よりキツかった。
以来、私はレシートを常に保管している。
食費の調整は難しい。しばらくの間、コンビニ弁当でも妻は文句を言わず食べていたが、毎食コンビニ弁当だと思った以上に食費がかかるし、二人とも体と肌の調子が悪くなった。妻まで倒れては我が家の家計もオシマイなので、途中からは料理をすることにした。
余計な考えを入れず、レシピに書かれた通りに作れば大抵のものは美味しくできた。
何より妻がおいしいとにこにこしながら食べるのを見るのはなかなか嬉しい。 なんだかんだで、半年ほどすると生活費も赤字を出さずに済むようになっていた。
妻の仕事は順調なのかそうでないのか良く判らない。妻は職場の話を家に持ち込まなかった。私もかつてそういう人間であったが「辛いことは一人で抱えないで、家族なんだから」と言った彼女がそういう行動を取っているのが不可解ではあった。
妻の帰りが遅くなる日が続いたある晩、帰ってきた妻に「辛くないか」と聞いた途端、彼女の目がはっと見開かれた。それきり声も出さずに泣く妻を、私は黙って撫でることしかできず、そして泣いている妻はとても可愛らしく見えた。
と、家計簿の備考欄に書いておいたら、二日ほど後にそれを読んだ妻が真っ赤になって「どうしてそのとき言わないの」と怒っていた。
仕事の話は仕事で病気になった私に話すのは悪いかと思って、抑えていたらしい。
最近、妻は「なんでも備考欄に書いたら良いです」と言うようになった。
春の夜は死んでしまいたくなる。
道端に飲み潰れた学生が数人、折り重なるようにして眠っていた。赤子のように安らかな表情を浮かべ、吐瀉物まみれで眠る彼らの上に、桜の花弁が舞い落ちてはゆっくりと積もっていく。やがて、花弁は彼らを飲み込むのかもしれない。あとには彼らの姿は跡形もなく消えてしまうのかもしれない。春の夜はどこかにそんな見えない刃を潜めて、こちらに襲い掛かる機会を、虎視眈々と舌舐めずりしながら窺っているように思えてならない。
それは年老いた語り部の皮を被って毎晩私たちを待ち構えている。春になって、長い冬の眠りから目覚めた記憶たちが一斉に穴倉から這い出して来ると、語り部は手際良くそれを一つ一つ丁寧に捕まえては、夜になる度に嗄れたその声でゆっくりと私に語り始める。それはいつか誰かの手を繋いだ記憶だったり、誰かの手を離した記憶だったりするのだけれど、語り部の純朴な語り口で語られるその記憶は、まるで温かなおとぎ話のように感じられて、私はついウトウトと眠りに落ちそうになる。そんな私を見て、語り部は優しく言う。眠ってしまっても良いのだ、と。でも、私は眠ることは出来ない。何故なら、眠ってしまえば二度と目覚めることはないだろうから。
春が始まりでも終わりでもなくなることほど、残酷なことはない、と私は思う。季節が意味を持つのは、季節の流れに従って生きている人間だけで、今の私にとっては季節などはただの通過点に過ぎない。どこにでも行けるからこそ、どこにも行けないような気分になる。行くべき場所を持たない人間にとって、それは圧倒的な事実で、結局のところ私はいつまで経ってもこの春の夜から抜け出すことが出来ない。いつかの遠い思い出に浸りながら、可能性を食い潰して生きていくことしか出来ない。語り部がまた笑い掛ける。眠ってしまっても良いのだ、と。でも、やっぱり眠るわけにはいかない。今にも何かが起こりそうな漠然とした期待だけはどこかにあって、それはまるで夜更かしをする子どものような言い分で、思わず私は苦笑してしまう。それが、私にとっての春の夜だった。
眠りから覚めた学生たちが、何が起こったのかわからないといった様子でぼんやりと辺りを見回していた。先程よりもその人数が減った気がするのだけれど、もちろんそれは定かではない。
彼らの無邪気な笑い声を聞きながら、私は一人、ふらふらと春の夜道を家へと帰った。
学校に行くのがつらい。男子の美味しそうな匂いに囲まれるからだ。
教室に入って最初に会ったのは陸上部の辻岡。朝練の汗が残る肌からマグロの刺身の匂いがする。
「辻岡。昨日とか朝とかマグロ食べた?」
「食わねーよ。魚好きじゃないし俺」
あっさり否定される。
いつもそうなのだ。食べた物とは無関係な食べ物の匂い。
「やっぱ男は肉だよな」
割り込んだのはお調子者の臼木。言葉と違い、完熟メロンの甘ったるさを漂わせている。
「俺は魚好きだよ。煮魚とか最高だろ」
隣の席の片倉は台詞通り魚の匂い。ただし煮魚でなく、脂の乗った焼き魚だ。
「やめれ、腹減るだろ!」
男子の誰かがそう怒鳴る。
でも雑談がなくなっても、私の空腹は止まない。
昼休みは食堂で女子だけで固まって食べる。不思議と女子からは食べ物の匂いがしないので安心だ。
私の食べる量はとても少ない。お弁当箱は片手に収まるサイズだ
「ダイエットか? 無理はいかんぞ」
急にそんな声。口うるさい体育教師の村沢が来たのだ。
周りの女子は説教に顔をしかめるが、私はうつむき静かに生唾を飲む。だって村沢は香ばしい燻製肉の匂いなのだ。
「まだ若いのに体重ばかり――」
小言は耳をすり抜ける。村沢の香りは私に食べてと言っているも同然だ。
手に持った箸が震える。ナイフやフォークでなくてよかった。あれば即座に村沢に突き刺し香ばしい肉をむさぼるところだ。
「気にしない方がいいよ」
うつむいた私に勘違いして、隣の女子がそう囁いてきた。
でも気にするななんて無理な話だ。
男は食べ物の匂い。物心ついたときからそう感じていた。成長につれてどんどん匂いは強まる。沸き上がる食欲ももう押さえきれない。これではまともな将来などない
放課後の廊下で夕日を眺め、そんな暗い考えで頭を満たす。
そのとき背後を通る人がいた。何気なく振り向き、そして愕然とする。
「待って!」
通り過ぎようとしたその肩を掴む。
「なん……すかセンパイ」
学章の輝きも新しい一年男子。急に見知らぬ上級生に捕まったので戸惑っている。
その両肩を掴み、いきなり胸に顔を埋めた。そして思いっきり深呼吸をする。
やっぱり汗の臭いしかしない。
こいつとなら、私はまともに生きられる気がする。
「私と付き合ってください!」
気が付くとそう叫んでいた。一年男子は困ったように頭を掻く。
「いや、いきなりそんな。センパイって肉食系ですね」
逆だよバカ。
5月に入ったとたんに、目に異変が起こった。
目を閉じると、お花畑が見えるようになったのだ。白くて小さな丸い花がお行儀よく並んで咲いているお花畑だ。
目を開けると消える。また閉じると見える。ずっと閉じたままでいるとずっと見える。まばたきすると、一瞬ちらっと見える。まばたきをした回数だけ、お花畑はちらっと見える。
そのうちだんだんわずらわしくなってきたので、まばたきをなるべく我慢して、目を見開いたままにした。どうしても疲れてきて、まばたきをすると、ちらっとお花畑が現れるという始末。まるで、まぶたの裏にお花畑の映像がはりついているみたいだった。
だんだん苦痛になってきたので病院で診てもらうことにした。
病院の待合室は、思ったより混んでいた。
雑誌を読もうとしたら、お花畑がじゃまになってうまく読めなかった。まばたきするたびに、お花畑がちらつくのだもの。
「ええかげん、かんべんしてくれよ。たのむわ」
え?と、思わずとなりを見たらその人と目があってしまった。自由な感じの兄ちゃん風情の男の人だった。
「聞こえましたか?すみません。いえね。新聞を読もうとしたら、別れた彼女がちらついて、読みづろうて。まいりましたわ」
「もしかしたら、まばたきする度に、ちらつくのでは?」
「正解!ようわかりはりましたね。そのとおり。目を閉じたままやと、ずっと見えるんですわ。まぶたの裏にくっついているみたいにね。夜なんか、気になって寝られませんねん。何ともいえん目つきでこっちを見てるんです。今までこんなことなかったんです。5月に入ったとたんに、こうなりましてん」
見えるものは、違っていても、症状は、私とだいたい同じらしかった。
「私は、お花畑が見えるんです。」
そう打ち明けずにはいられなかった。すると向かいのサングラス姿のご老人も口を開いた。
「お花畑ならまだいい。わしは、墓場じゃ。墓場が離れよらん。」
ご老人の隣の、同じくサングラス姿のサラリーマン風情の男の人も、黙ったままではいられなくなったようだ。
「私なんか、直属の上司ですよ。ごっつう怖い顔で睨まれるんですわ」
二人とも、サングラスをはずして、ほぼ同時にためいきをついた。その形相を見てびっくりした。なんと!どちらも、つまようじの半分くらいの長さの細い棒をつっかえ棒にして、目を見開きっぱなしにしていたのだもの。
笑いそうになったが、我慢した。
よほど目を閉じたくないのだろう。お気の毒に。