第126期 #2

均衡

 彼方は 私を 見つめるフリをする
 私は いつも 風ばかり見てるフリをする
 もし 目が合ってしまったら
 それが 大切な事に成って仕舞うから

 彼方は 意味無く 忘れたフリをする
 私は それを 笑って許すことにしてる
 もし 咎めてしまったら
 人の間で 罪を作って閉まうから

 人の心を紐解いたって
 功徳を装うAさんがいるだけで
 そんなものを見つけたって
 汚れた罪と相違ないよね

 私は彼方と 手を繋ぎ 鞭打たれても 
 息退だけ
 ちょっとだけ 悪びれて見せたいだけ

 彼方は 私の 鼓動を聴きたがる
 私は そっと 胸の上の眼鏡を外す
 もし 私が動いていなくても
 彼方は 自分の音を確かめてるだけだから

 人は愛欲の広海に漂って
 人の中の自分を見つめるだけで
 そんなことに気付いたって
 褒めてくれる人は不在よね

 私は彼方の 永遠という言葉を諦めても
 詩似たいだけ
 ちょっとだけ 我慢を見てもらいたいだけ

 不偸盗 不悪口 不慳貪
 私達には 関係がないよね
 不殺生 不邪淫 不妄語 
 それにはちょっと 怒気っとするけど

 人の心を紐解いたって
 功徳を装うAさんがいるだけで
 そんなものを見つけたって
 汚れた罪と相違ないよね

 私は彼方と 手を繋ぎ 鞭打たれても
 息退だけ
 ちょっとだけ 悪びれて見せたいだけ

 私は彼方の 永遠という言葉を諦めても
 詩似たいだけ
 ちょっとだけ 我慢を見てもらいたいだけ



Copyright © 2013 白熊 / 編集: 短編