第124期 #7

ただいまゲルマン移動中

やあやあ俺も突然過ぎるが、過ぎると言うならむしろ北村暁の短編の方が続き過ぎではなかろうか。なんとなく長く続きそうな人柄ではあったが、まさかここまで続けるとは。ここまで続くと初期のメンバー、何人か死んでないか? 久遠さんとか死んでるだろ肥満体だったらしいし。京木倫子とか黒木とかもきっと死んどる。妄言王なんか真っ先に死んどるだろうな自宅で首を吊って。

そしてゲルマン民族一同はただいま移動中である。一同、と言っても大半の者は血に染まるであろう今回の行軍に反対し残ったから、ただいま移動中なのはゲルマン民族総数のおよそ5分の1の武闘派集団だ。ちなみに残った者たちは、武闘派集団が集落を去った途端に周囲の潜伏民族に攻め込まれ、男は惨殺・女は姦殺の憂き目に会い全滅しているから、つまりはただいま移動中の一同が地球上に残るゲルマン民族全員だ。
しかし彼らの先行きは危うい。何しろ全員、イケイケの武闘派である。集団とはイケイケ3のマテマテ2、つまり三歩進んで二歩下がるといった具合でないと長続きしないものだが、このイケイケ10の御一行は、集落を見つけるや全員が我先にと襲撃し、命乞いしようが子供が泣こうが基本皆殺し。金品食料は徹底的に略奪。建造物丸焼き。若い女は連れ去られ延々と輪姦……と、思いきや御一行にはゲルマン女もいて、わざわざ敵の女を率先して刺殺撲殺絞殺してしまうから、結局草木一本残らない。
そんな後先考えぬ荒っぽい集団が、後の世に「大移動」と称される程の長期移動を無事故で成し遂げられる筈もなく、それはもう些細な喧嘩から全員参加の殺し合いまで、実にリーダーの首がすげ替る事100日で101回という有様の末、

今のリーダーはハーケン。

たまたまハーケンクロイツのハーケンだが、もちろんヒットラーが現れるのは1000年以上未来の話だ。ハーケンとはゲルマン伝統の惨殺用一本串の名称。吸血鬼ドラキュラのモデルとなった串刺し公が、酒の肴に美女を串刺したというひどいアレだ。
ハーケンは異例の長期政権を築いていた。ただいま五日目。過去約100人のリーダーは、ほとんど寝首を掻かれ殺されている。人間寝ない訳にはいかないのに、寝ている時が一番無防備という矛盾。丸三日ほど不眠で頑張った者も居たが、不眠を続けるほど反射神経も落ちてきてやっぱり殺されやすくなるというこれは必然の話で、ごめんな未だに尻切れで送信する癖が抜けなくてさー



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