第124期 #5
僕には兄が居て、両親からは「だいちゃん・けんちゃん」という愛称で呼ばれている。
僕には癖があり、トイレにて用を足したときは、たとえ小便でも水を流す。
そんなある日、学校から帰ると、自宅の居間にて兄が腹から血を流し、死んでいるのを発見した。
死因は大量出血だと。
犯人はまだ捕まっておらず、兄が亡くなったショックでだろうか。最近母の物忘れがひどくなった。点けているテレビの電源を消し忘れたり、携帯電話をどこに置いたか忘れたり、晩御飯を作っている最中、今自分が何を作ろうとしているのか忘れたり。正直、困っている。
僕はため息をついて、小便をしようとトイレへと向かった。
用を足し終え、母の元へ向うと、そんな僕の姿を見、一言。
「あれ?けんちゃんって、水流す癖無かったっけ?」