第124期 #2

みんな死ねば良いのに

本当に思う。俺の嫌いなやつが全員死ねば俺は幸せなのに。
そんなことはないよ自分の嫌な人を排除していったって結局孤独になるだけで一時的に気分が良くても幸せにはなれない、なんて言うやつは嫌いなやつを殺した事があるのか? そもそも君は幸せを、至福を知っているのか?
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実際のところ我々はこれまで我々のとっても嫌いな人間を継続的に殺してきた。我らが死刑制度である。
それは「嫌い」とは違うんじゃないかって?
「社会的に生存価値が存在しない」と、大勢の意志と社会と文化による揺らぎを内包した「倫理」によって判断される反社会的な存在に対して公権力がその意志を代行し死をもってその罪を償わせるのが死刑制度である。
個人的感情の一側面とはそのスケールが異なるがそうはいっても、社会を構成する1億数千万人の価値観と感情にその本質が依拠していることは間違い無い。我々はこの世から自分の嫌いな奴らを排除して幸せを保ってきた。
2014年1月31日現在の死刑確定囚134名の救われべからざる魂。
だが今死刑制度が廃止されるに当たって、法が施行されるまでの2ヶ月と13日、俺は134人を一人も漏らさず全員殺すだろう。
これまで第475条2項を腰抜け共が守ってこなかったとしても俺からは誰も逃げられない、とここに宣言する。



Copyright © 2013 藤舟 / 編集: 短編