第120期 #9

前進

久々に自分の家の本棚を見ていると「仕事は楽しいかね?」(デイル・ドーテン著、きこ書房)が目に付いた。

「仕事は楽しいかね?」、本に出てくる、サンタクロースみたいな実業家のオジサンが、自分に問いかけているみたいだ。

「仕事は楽しいかね?」と聞かれると、「いまの仕事は楽しくないです。海外駐在していたときも同じサービス業務だったのに、なんでこんなに違っているのでしょうか?自分の成長と会社をビジネス的に強くすることを望んで異動の希望を出して、そのことが実現したのに、なんでこんなに不満が多いんでしょうか?」と、そのオジサンに聞いてみたい。そんな気持ちがずーっとこの半年間、自分のココロの中に渦巻いて、いまココロの風邪に。

でも、自分で分かっているのだ。答えはたぶん見つけている。解答がABCDの四択ならば、僕はもう答えを知っている。しかし、数学の証明問題のように、答えを導くプロセスを見つけられないのだ。たぶん正確に言えば、「そのプロセスが果たして正解なのかどうか、分からないこと」に不安を感じているのだ。

その時(時代)と、その場(環境)、そしてその人(性格)で、それこそ数学の確率論のように、答えの導き方は幾億にもなるのだろう。悲しいかな人間は、他人と同じ答え方でないと不安に感じたり、否定されることを怖れているのだ。きっと自分も同じ。

感動する映画や小説では、スタート地点での主人公が置かれたポジションは、明らかに「負け」状態。その「スタート」地点では。でも、彼らの頑張りや、運で大きな勝利を勝ち取ることだってある。たとえば、ウィル・スミスの出演した「幸せの力」だってそうだし、これも実話の「ルディ」だってそう。

人は幸か不幸か「いま」しか見えない。だからこそ、「明日は今日とは違う自分になれる」んじゃないのかな。
そう思うと、1秒前までどん底でも、嫌なことがあっても、1秒後の未来は必ず違うことが起こっているはず。

たぶん大なり小なりみんな悩んでいると思う。
ちょっと視点を変えて、ずっと先のことを考えてみよう。
何年か後に、あの時の苦労は大したことなかったとか、糧になったと思える日が必ずくるはず。



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