第113期 #8

先生

 俺はシュガー先生が嫌いだ。何故なら何時もペンで俺の後頭部を叩くからだ。この前なんか箒で叩きよってからに。
 「先生よ、ペンペンペンペン俺の後頭部を叩くのはよしてくれ」
 「まあこれもペンの自由じゃて」
 「ペンの自由じゃなくてペンの暴力だろ」
 「怠け心を吹っ飛ばす」
 「じゃあせめて箒では止めてくれない?」
 「箒はスペイン語ではバレル、バレルバレル何でもバレル」
 「って、しゃれかよ」
 「この前机に座って居る時にそれやられて前歯かけちゃっただろ」
 「君のは乳歯、乳歯、また生える」
 「おいおい自分でやっといて、永久歯だよ」
 「なに?永久歯となどれどれちょっくら見せてちょんまげ、ふむふむこれは軽い。こんなんで文句言っとったら、もっとひどく折れてしまうよ」
 「程度の問題じゃねーよ」
 「とにかくおまえうるさいんじゃよ。友達としゃべったり、元気に走って居たり、私には大変妬(ねた)ましかった」
 結局シュガー先生との示談では、私をシルクロードの海外旅行へと連れて行ってくれると言う事で話がついた。先生は鐘を突く時だけ寺で勤務する、パートタイム鐘突きの仕事や、駐車場のシャッターの開け閉めだけをやる開閉業で教師の薄給を補って居る様だ。あと有料雪下ろし業もやっている。これは派手にうるさくやらないと働いて居ると見なされなくて大変だと何時もこぼしていた。開閉業は別にシャッターの開閉ぐらい自分でやるだろうが、歴史的にゆかりの深い場所なのだと、自分で開閉をやるとたたられるのだそうだ。そこで遠方まで交通費込みで雇われるのだが、最近は迷信を信じない人が多くて需要が少ないそうだ。

 とにかく明日俺はシルクロードへと旅立つ。シュガー先生同伴だが、この条件だけは撤回させられなかった。シルクロードツアーを実現できただけでもよしとしよう。俺の胸は高鳴るが、何故か一抹の不安を消す事が出来ない。と言うのは先生の父は元下水王と呼ばれたキングみきひとであだ名は名前の「みき」からとって英語で「トランクス」と呼ばれて居たのだが、フリーザー親子をやっつけられずに無念の戦死を遂げて仕舞ったのだ。
 その父君の無念が息子にたたり先生のおかしな行動につながっていると言うのが衆目の一致した見方となって定着して居た。
 ある場合には先生の発案で私の家が呼鈴鳴らし大会の会場に何時の間にやらなって仕舞って居た。(次号続く、かもしれません。ご期待あれ)



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