第107期 #8

ブリザード ホプキンス

歩く、歩く歩く。

「食べたね。食べた、」


行っては帰り、帰っては行った。


拾っては、捨てた。

ダイヤが石ころに、石ころがダイヤに。


アリゲーターのアリちゃんは、何も語らなかった。
生き方も違ったが、何かを教えてくれたよ。
あと、水場もね。


あと、何かを言おうとしたでしょ!?いつもそんなそぶりで、、


ガガ―ズッ、、緊急、くほ、、ザッザザー



飛んでいた蝶についていき、蝶の大群に出会ったこともある。


見た。知った。矛盾になった。

不思議だった。

不思議を受け入れた。

いや、受け入れようとした。



苦しみは追いかけてくる。


宇宙に溶け込まないとする膜だ。

羊膜は、いつも付いていた。

膜の内で、安心しながら、外に怯える。



ほんの薄い、弱い膜が、破ることができない。


膨張する。息が苦しい。



もがいた。生まれる。



Copyright © 2011 金武宗基 / 編集: 短編