第106期 #13

うそつきは泥棒の始まり

また告白できなかったの?草食系男子もそこまで行くと立派だね。
いや、馬鹿にしてるわけじゃないよ。たまにはお肉でも食べたらどう?ほら、お肉食べたら心も肉食になるかもしれないしさ。
あ、あそこにフライドチキンを売ってるお店があるよ。行こっ。

うん。ばっちりだよ。フライドチキンを2つも買うなんて男らしいと思うよ。
ところでさ。草食系男子って、ようは女子みたいな男子が増えたってことでしょ?
こうは考えられないかな。女子のような男子になってしまったのは、女性ホルモンを食べ物からたくさん摂取したからとか。
例えば、フライドチキンってあるじゃない?脂身が多くて、肉は柔らかい。時にはジューシーだと表現されることもあるわけだけど、あれがどうやって生産されているか知ってる?ブロイラーにね。女性ホルモンを注射するんだよ。そうするとブクブクに太るようになるの。そうしてジューシーなチキンが出来上がるの。そんな女性ホルモンにまみれたチキンを食べて、体に女性ホルモンが入らないわけがないよね。それを何十個も食べてさ、最近の男の子は草食系になってしまったんじゃないかな。
ちなみにアメリカでは、フライドチキンが大好きで、毎日フライドチキンを食べていた男の人の胸が大きくなって、ついにはブラジャーが必要になって、裁判で戦った結果、フライドチキンを売っていた会社は敗訴したんだって。

あれ、よく見たら君が手に持っているのはフライドチキンじゃない?今まさに君は女性ホルモンを摂取しようとしてる瞬間なんだね。
食べ物のことも考えずに、与えられたものを食べるという受け身な態度が、体内に女性ホルモンをため込み、ますます受け身になっていく。負の連鎖だね。
ん?そのフライドチキンを私にくれるの。いやーどうもどうも。ありがたくいただきます。んーおいしー。じゅーしー。


あ、ちなみに今まで私が言ったことは全部うそだから。






あれ?怒った?

あ、まってまって。うそつきは泥棒の始まりだけど、私がフライドチキン泥棒ってわけじゃないんだよ。






だってほら、フライドチキンを食べた私を、君が食べるから。



Copyright © 2011 堀口 / 編集: 短編