第100期 #3

穴と棒が登場するからって卑猥だとは限りませんのよ?

少女は、穴を見付けた。
少女は、その穴に棒を突っ込んでみた。
棒からは返事がなかった。
少女は、しょんぼりした。
少女は、穴に向かって地団駄を踏んだ。
すると、あれれれれ?少女のかわいらしい靴が、小さくなっていくよ。
あれれれ?あんよが、穴の中に入っちゃった!
体が、穴の中に入っちゃった!
少女は、尻餅をついた。ぺったん!
少女は、あたりを見回した。
「ここは、ありさんのお家だ!」
少女は、目の前にぬっと現れた、黒いアリさんを見て、ここがアリさんのお家だってことに気づきました。
「アリさんアリさん、何してるの?」
ありさんは答えました。
「俺は働きアリだ。これから、穴を出て、みんなのごはんを探しに行くのだよ。」
「ありさん、頑張ってね!」
少女は、そう言って、最初の部屋をずんずん目指しました。
その部屋の中には、寝てばかりいるアリさんが数匹いました。
「ありさんありさん、何してるの?」
ありさんは答えました。
「はたらくのって、めんどいんだよぅ〜。俺なんてどうせ、ここで寝てるのが仕事なんだ。」
「寝てるのがお仕事のありさんなんて、おもしろ〜い!働いたら負けだって、あははは。」
少女は、そう言って、次の部屋をずんずん目指した。
その部屋の中には、うんうん唸っている、女のアリがいた。
「ありさんありさん、何してるの?」
ありは答えました。
「ミンナノ弟タチヲウムノデス。」
「そんな仕事で、だいじょぶですか?」
少女は、そう言って、次の部屋をずんずん目指した。
その部屋の中には、また別のメスのアリがいた。
しかし少女は、「ありさんありさん、何してるの?」と聞くことができなかった。なぜなら、そのメスのありさんは、
「行きなさいあなたたち、弟たちのカタキをトルノデス。」
という声を聞いて、怖くなってしまったのです。
「私、食べられちゃうのかな。」
だいじょうぶだよ、これを読んでるお兄さんたちが守ってあげるから。
少女は、おそるおそる次の部屋を目指した。
でも、少女は、お母さんの顔を思い浮かべた。
「はやくおうちに帰らないと、お母さんにおこられるよう。」
少女は、べそをかいた。
すると、さっきの働きアリさんが、食べ物を持ったまま少女に話しかけた。
「おいおいどうしたの、泣かないで。」
「働きありさん、私、おうちに帰りたいの。」
ありさんは、こう答えた。
「背中に乗りな、出口まで送ってあげるから。」
「ありさん、ありがとう!」
少女は、食べられた。



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