第100期 #24
高橋是清はニートなのに全日本ニート連盟の会長を務めて居て年収が1000万円以上あることが理事会で問題となった。
「我々理事は無給で働いて居るのに会長だけそんな収入があるのは問題ですぞ。大体年収1000万円以上あるならニートじゃ無いじゃんと言うもっともらしい(失礼)もとい、常識的で当然至極な指摘が全国からぞくぞくと投書の形で寄せられております。会長はどう申し開きするつもりか」
理事会は紛糾した。それも会長の、
「そんなの知らんよ。ずばり騒ぐ方が悪い。ニートだって収入が欲しい。かてて加えて、1000万円ばか収入のうちに入るのかね」
と言う無責任でちゃらんぽらんな答弁のせいだった。
理事会にはニート家族からの襲撃もあった。
「うーむ許せん。わしらは生活保護の10数万円だかでぎりぎりの生活いっぱいいっぱいだと言うのにニートにくせにゆとりのあるのが許せん。近親憎悪(同じニート同志と言う所から来るある種の高揚した憎悪)だがや」
と言ったかと思うとニート家族の戸主から会長椅子の焼き打ちをくらった。
「ひえー助けてくんろ」
と高橋是清は逃げるしかなかった。逃げながら申し開きをした。
「まー待て。わしだってニートにいすわっとる訳じゃない。その証拠に先日は就職面接を受けてきた。そしてウミハとカワハからは内定を貰って来た。ほれここに証拠の書類もある。じゃが残念ながらヤマハからは内定が貰えなかった。面接中に脱糞して仕舞ったからじゃ。わしだって努力しとるんじゃ」
必死の申し開きと言うか、弁明の甲斐もあってか戸主の怒りも少しは和らいだ様だった。
「理事諸君の皆様方にも分かって頂きたい。わしだって普通の勤め人になる努力をやっているんじゃよ」
「でも会長はそれらの内定を都合の良い手前勝手な理屈を付けて握りつぶすおつもりかと推察いたしますが」
「また、そう言う邪推をする、確かに結果的には握りつぶして知らんぷりする可能性も無きにしもあらずじゃ。じゃが、それはあくまで結果論であって最初からかようなつもりで居る訳ではないのじゃ。今回の内定だって真剣に検討した上で悪い様にはしないつもりじゃ、つまり受託する可能性もゼロでは無い」
さらに必死の弁明で理事諸兄も納得したようだった。