投票参照

第91期決勝時の、#15タコの修復(宇加谷 研一郎)への投票です(2票)。

2010年5月4日 20時52分35秒

明るくていい。
(qbc)

参照用リンク: #date20100504-205235

2010年5月4日 11時40分23秒

 予選を勝ち抜いた作品を再読し、しばしの沈思の後、本作に票を投じる。氏の他の作品と比べると、一篇の独立した小説としての強度に欠ける気がするが、温かさとおかしみのないまぜになったこの風情は、氏以外の誰にも真似ができないものだ。本作に登場する人工知能とは、おそらく作者の考える小説という名の装置そのものであり、ひたすら文脈を踏み外すイメージの跳梁こそ、氏が小説において夢見続けている対象に他ならない、と僕は読んだ。
 従って、例えば、譲二がこれから看板誌「うっとり」に連載を開始することになる文章こそが、実は、宇加谷氏がこれまで書きついできた連作群なのだ… とでもすれば、氏の世界は美しく円環を閉じることになるだろう。しかし、「いやいや、そんなふうに円環を閉じることこそ、もっとも反・宇加谷的なふるまいだよ」と、作者は言うかもしれない。

 なお、予選通過作品の中では、他に「化石」に着目した。この作者も確実に腕をあげているし、聡明な書き手だと思うが、いかんせん、着想も文体も村上春樹の二番煎じの域を出ておらず、予定調和なオチの安直さといい、ちょっと気恥ずかしくなる会話といい、まだ独善的なナルシシズムを脱却しきれていない。でも、もう一皮剥ければ、ボリス・ヴィアンみたいな、もっと自由で、荒唐無稽で、切ない話が書ける才能を持った人だと思う。
(でんでん)

参照用リンク: #date20100504-114023


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