第89期予選時の、#10信号待ち(loiol)への投票です(2票)。
皮膚感覚(温度・湿度・触覚)・聴覚を中心に描写されているのに好感。遠景(海)が『わたし』の五感に与える影響が随所に散りばめられており、奥行きを感じます。
『柔らかい桃色のもの』あたりの唐突でとりとめもない夢想が、『わたし』に人間的リアリティを添えています。『わたし』に関する描写は最小限ですが、その性質が伝わります。
ただ、1000字という制限の中でど真ん中に『誰かの田舎』の追想を挟むのはちょっともったいなく感じます。実際の思考はこれぐらい散漫なものとは思いますが、共通する『信号待ち』状況・【海⇔山】の対比によりベースを際立たせているかというとそうでもなく、『海沿いの道』における感覚がばちんと途切れて置いてけぼり感があります。
参照用リンク: #date20100227-062819
段落ごとに一行空きがあったり、三点リーダが重ねられていなかったりと、個人的に何かもうそれだけで損をしているような作品に感じたが、“人生の片隅っぽい感じ”が非常に好みだった。
「車はまったく通らないが信号無視はしない」感性(理性ではなく)は人生にとってとても大切なものだと思う。大抵それで損をすることが多いのだが。恐らく余計なことを考えてるうちに何回か青になってると思うよ。
参照用リンク: #date20100213-015437