第83期決勝時の、#8ベイビィポータブルボム(キリハラ)への投票です(5票)。
『ベイビィポータブルボム』に一票。他三作品がこのウェブサイトで受けそうな小説という印象だったのに対し、同作品は良くも悪くも他の似たようなコンペティションでも同様の受け方をするものだと感じた。「短編」内で考えるならば他の作品を推しても良いのだが、少々大仰ながら普遍性という点から今回はこの選択とする。
というか、たまにはライトノベルっぽい作品も優勝しないと。いつもここらしいままでは不健全じゃあないですか。
参照用リンク: #date20090907-105146
「何も考えずにただ楽しめるものを作る」というのは、実はかなり難しいことだと思う。実感としてそう思う。作者がどんなことを考えてこれを書いたのかはわからない。が、でもそんなこと関係なしに、これはただただ楽しいのがよかった。
参照用リンク: #date20090904-210516
おなじみの全感想というやつを書いている中で、感想を書くのに窮してしまった作品がある。それは今期決勝に残った『ベイビィポータブルボム』と『赤い糸』の二作だ。どちらの作品も完璧な出来栄えで隙がないと感じた。じつに困ったことだ。感想を書く上での取っ掛かりが見えない……。それに引き換え『午後五時四十五分の悲鳴』はつっこみどころ満載だ。「知悉」、「黄菜子」、兎のぬいぐるみに時計を埋め込むような訳の分からない主人公など、感想を書く者にとってはとてもありがたい、親切な作品だった。
さらに前者の二作を分けるとすればこうなるだろうか。まず『ベイビィポータブルボム』の方は、何の裏もなく、読者を楽しませることに100%徹した、限り無く読者に開かれた作品という印象を受けた。一方『赤い糸』の方は、内側に何かを抱えつつ、他者から自分を閉ざそうとしつつも、どこかで他者と繋がっていたいと願う、切ない祈りのようなものを感じた。(この“切ない祈りのようなもの”は『午後五時四十五分の悲鳴』にも同様に感じられた)
予選では『ベイビィポータブルボム』を推しているのでそのまま一票入れるのが順当なことだと思うのだが、正直言って迷っている。
(euReka)
参照用リンク: #date20090902-185623