投票参照

第79期決勝時の、#30前借り(腹心)への投票です(1票)。

2009年5月3日 20時47分45秒

「前借り」
今回の投票はこれ。小説として一番良く出来ている。こういう鮮やかさを見せられるとたまらない。
ただ最後を、無関係な二人の会話で終わらせるのは「ん?」と思った。手法としてはよくあるパターンだろうが、かえってわかりにくくなっているような気もする。じゃあどうすればいいんだよと言われても、改善案は思いつかないが。

「オタマジャクシ」
投票を迷った。描かれている情景がいい。夕暮れの生物室と残酷な子供達の取り合わせがはっきりと浮かび、やけに懐かしい気分にさせられる。物語としての展開も文句がない。
残念なのは文章がひっかかり、読みづらい部分。K氏の過去作と比較しても、今作は文章的な面で今ひとつな部分が見えた。

「人影」
ものすごく面白い映画の1シーンを切り取ったかのように思えた。文章も心地よい。ただどうもパンチが弱い。上2作のような、読み終わった後にぶん殴られるような感覚が無い。抱きしめてくれる小説もいいが、これは抱擁の力が足りないように思える。いい小説なのは間違いないです。

「受賞者」
講談社のショートショートの広場でいかにも入選してそうな作品だなという印象を受けた。理解しやすい筋立て、予想を心地よく裏切る結末。しかし会話文主体で終わらせるには、どうにも短くまとまりすぎたネタのような気がする。博士と主人公のキャラをもっと丁寧に描写した方がよかったのではないだろうか。

「セザンヌ」
これは小説じゃなくて詩ではないだろうか。文章はたしかに下手ではないが、こういう乱雑な主観を生のまま表すのは、果たして短編小説に向いているのか。ストーリーも押しが弱い。

「準備中」
童話風の文体がいまいち効果的に生かせてないように思える。家賃滞納だの近隣住人だの現実的な言葉が挿入されるところは悪くないが。だが結局、アリは親切なのか残酷なのかがわからず、それをわざと曖昧にしているような効果も見出せない。その中途半端さに残念な感じがある。

参照用リンク: #date20090503-204745


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