第78期予選時の、#21ダークマター(えぬじぃ)への投票です(2票)。
この話はバカにしてた者によってバカにされる、というシンプルな笑い噺だと思うけれども、たんに可笑しいだけではなくて、どこか悲しい。
というのも、眼に見えない物質を探し続けるロマンを追い求める科学者が、実際は妻からも霊感商法と同程度にしか認識されていない、というところなんて、なんともかわいそうで、小説家を自称しつつ周りからの視線は……という私などは、この科学者のことをぜんぜん笑えなかったよ。
上質な喜劇は悲劇をも内包しているということなんだろうか。ベルグソンでも読んでみるか。そして、悲劇は喜劇に転換していかなければ、この世知辛い時勢にロマンとか夢とかいってられないよな、としみじみ思うところがあった。前半の重厚な演説調の前置きも、後半のどんでん返しをひきたてている。隠れた名作だと思うが、あ、名作とか書くのは余計か。
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