投票参照

第78期予選時の、#113分間(かおり)への投票です(3票)。

2009年3月31日 22時9分46秒

 夏の夜のことであることに今さら気がついたというほどに、桜散る夜の温かく静かな空気を私は感じていました。言葉や文体など作品のすべてでひとつの心情を描いたことは、良いことだと思います。(黒田皐月)

参照用リンク: #date20090331-220946

2009年3月31日 12時0分40秒

話を読み終えて、作者を身近に感じられることができた作品だった。

夏の夜に、夫の帰りを待つ主婦の話である。夫のことが好きだし、生活に不満があるわけでもない。かといって、有閑マダムというわけでもない、いわゆる普通の主婦が、携帯電話を通して誰かのピアノ曲を聴く3分間のあいだだけ、平凡な(そこそこ幸せな)生活着を脱ぎ捨てる話だ。

昔のように情熱的な恋愛をしてみたい気持ちもある。だけど、昔のように、自分はてぶらではなくなった。好きになった誰かとなら崖からでも飛び降りるのだって平気、というような軽薄な無鉄砲は捨て去ったかわりに手に入れた生活にはずっしりとした重みがある。

そんな主婦がふと、夏の夜中に、知らない男の指で弾かれる「月光」を、電話を通して、耳元で聴くことになる。直接的な愛のささやきでも淫らな妄想を誘う文句でもなく、流れてくるのはただのピアノの音にすぎない。それなのに、音のあつまりの旋律が語りかけてくるせつなさのようなものが、やるせない感情をもてあましていた一人の主婦の心にかつてのふわふわした高揚感やどこまでも寄り添って疾走したい感情を思い出させる。

……内容もよかったし、弾かれる曲が「月光」というのも、なんというか、ベートーベンを聴きたくなったよ。なによりも、この題材ならばどこまでも感傷的になれるにもかかわらず、きわめて客観的に細部を述べているところが、この作品をみごとに小説にしていると思った。郵便配達の男性だとか、エレクトーンを習ってたとか、そういう細部の設定がいいなとも思う。

参照用リンク: #date20090331-120040

2009年3月26日 21時27分59秒

平々凡々な生活に忍び寄る深い淵を覗き見たような気になりました。幸せって一体なんだろうか、と思わず考えさせられます。よかったです。

参照用リンク: #date20090326-212759


編集:短編 / 管理者連絡先: webmaster@tanpen.jp