第76期予選時の、#9『レッドキングの結婚』(石川楡井)への投票です(2票)。
不満から先に書いてしまうと、この話はあと400字も残しておわっている。贅沢を言うならば、この話の中に流れているであろう時間をもっと描いてもらいたかった。つまり、400字をつかって、リカちゃん人形の持ち主であった少女はどうしているのか。少年はレッドキングを忘れたかわりに何に夢中になりはじめているのか。あるいは、少年はいつかレッドキングを思い出すことがあるのかないのか。この話はいくらでも膨らませられる……664字の必然を感じない。
しかし、そんな不満よりも、いい作品を読ませてもらったという思いの方が強い。どうも主観がつよい、どちらかというと作者の悩める思いをもろにぶつけた感じの作品が多かった今期において、怪獣の結婚がテーマは新鮮で、斬新で、それでいて新しさに溺れていない点がよかった。まあ少年がリカちゃんのスカートを弄び、体位を試す、というところは発想に何のおもしろみも感じなかったけれども。
参照用リンク: #date20090131-234731
忘れられたものの話は好きです。
子供ってそういうものだ。
好きな型の話が、湿りすぎず乾きすぎずうまいこと書かれていたので、文句なく一票。
作品は明らかに虚構であるけれど、こうして押入れの奥で眠る怪獣は実際多く存在したのだろうと思う。
参照用リンク: #date20090126-114341