第72期予選時の、#15外は大降りの雨だった(bear’s Son)への投票です(2票)。
なんとなく村上春樹の「ノルウェイの森」を思い浮かべてしまう……。文句から書いてしまうと、主人公は二人の女の子を選ぶ立場にいきなり立っているのが、なんとなく都合がよすぎるように思え、海外ボランティアも、「機乗準備」も、これまたなんとなく単語が泳いでいるような感じで、しっくりこない。この部分だけ捉えると、全作品を読んだうえで推薦するベスト3に挙げるのが躊躇われる。
しかしながら、散々失礼なことを書かせてもらったけれども、全作品を読んだうえで、読みおえたあとに、なにか作品の1000字以上の部分が、頭のなかでぱーっと広がっていく感じがして、爽快だった。
私はこの話のラストに雨が流れるところも好きではない。いろんなところがわかりやすすぎる、と文句ばかりいいたくなるのだが、たとえば貴子という女のメールに「伊勢まで行った」とあったり、「早い仕事」の貴子を送ったかえりに絵美とよった喫茶店で「窓側の席」のクッションにすわり、「アイス」を注文するところだとか、29日と30日の日付が妙に何度も絡んできたり、その物語とはあまり関係がない細部細部がわざとらしくなく作りこまれていて、それは作者のセンスの良さなんだと思う。才能がある。だから物語はともかく細部と、その細部と細部の集まりによって、長い小説を読み始めたかのような心地よい読後感に一票投票する。
参照用リンク: #date20080924-105141
私も、優しさは経験から出てくるものだと思ってました。
でも、絵美のような優しさの形もあるのだと。
それを最後に受け入れられた(と私は読解しました)主人公に、安心を覚えました。つまり、ハラハラしながら読んでいたけど、最後にホッとしたと。
世の中の女の子の種類って、結構分かれるけど、基本的に貴子タイプと絵美タイプですよね。実に上手く描写されています。
参照用リンク: #date20080916-002622