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第66期予選時の、#13アイ ウォント ユー(田中彼方)への投票です(1票)。

2008年3月31日 14時31分20秒


一般的に学生時代にモテるのは整った顔立ちの男女であると思われる。そして社会にでると、これまた一般的には容姿よりも(男は)社会的地位だったり女は媚態の有無がモテるかどうかの決め手だったりするのではないかと思う。もちろんシブい学生は顔より知性というかもしれないし、中には金より心と本気でいう女もいると思う。ブサイクとか関係ない! という男だっているだろう。私は後者でありたいと思ってはいるけど、それだって突出した媚態の前では怪しげである。

この作品を読んでいると、主人公の女の子は典型的な学生なんだろうな、と思った。顔がかっこいい男が好きで、自分はブサイクだからつまらないと決め付けている。でもきっと耳の形はかわいかったり、豊かな太腿を隠していたりするのだ。可能性を自分でつぶしている。主人公は完璧な彼、を殺すほど好きでいるけど、いつかはその殺した彼のことも忘れてしまって、やがて現れるほどほどハンサムなエリート会社員を「完璧」と見做すようになるのだろう。「完璧」とか「最悪」とかの判断基準が自分の中から生れたものではなく、あくまでも狭い世間の標準と比べてのものでしかないことに気づかないままでいるのだろう。これは物語なのだから、どうかこの主人公にもっと広い世界を与えてやってほしいと私は思う。でもこれが現実社会のそのままの姿なんだろうな、とも私は思って、なぜかしゅんとしてしまう。

不思議と心に残った。物語だけが読み手を異次元へ運んでくれる、あの不思議なリアリティ、というものはこの作品にはまったく感じなかったかわりに、とてもアクチュアルな現実の一面をこの作品にみた。現実世界と折り合いをつけていくことだって大事だ。

最近の文学賞やいわゆるベストセラーにはこういう作品から選ばれるように思う。書き手が若く、まだ学生だったりちょっと整った顔だちで音楽などやっていたら特に。

(ロチェスター)

参照用リンク: #date20080331-143120


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