第64期予選時の、#17沼蝦(川野佑己)への投票です(6票)。
川野さんの作品は、これはもうはっきりと敵わない明確な語り口があって、あたかも体と同じ浸透圧を文章が持っているかのように、すんなりと読むことができるです。理屈で内容を読み解こうとするとかえって楽しみを失ってしまうのです。何も考えずに書かれている主張の無い文章だから考えずに読むのが良いという意味ではなく、文章の持つホリスティックな表現力によって知性感性と広く揺さぶられて、あたかも川野さんの呼吸をそのまま聞いているという感じがします。
昭和天皇の陵墓と向き合う話とか、駐車場のおじさんの話を読んだ時は、私自身まだそれほどなじむ感じはなかったのですが、読めば読むほど味が出ますし、今期はぴたっとはまって初読から楽しめました。朗読にいい文章をと言われたら、川野さんの作品を推薦します。(とむOK)
参照用リンク: #date20080131-222757
何か目を引くものがあるのではないのだが読ませられるというのは、実はすごいことなのだと思います。
沼蝦の死に意味をつけてしまうのではなく意味を求めるだけという抑え方も、なかなかできるものではないのかもしれません。
参照用リンク: #date20080131-202210
美大生のスケッチを見ているような安定感。
私のは子供の落書きで、地力がしっかりしているというのは羨望の対象です。(三浦)
参照用リンク: #date20080129-010922
うまいですね。なんていうか、読ませます。
話題の動かし方が素敵です。
潮汐力のちょっと堅い(?)話に入りつつ、「金子みすゞの領分」なんていう言葉を混ぜ込めるのがうまいと思いました。
参照用リンク: #date20080118-221535