第64期予選時の、#16頃合(qbc)への投票です(3票)。
qbcさんの作品は、リピドーたっぷり微熱のまま筆を走らせるような不安定な力強さとか、穿った心理描写とか、突き放すような皮肉とか、トラウマっぽい捨て身のユーモアとか(いやそういうユーモアばかりじゃないんですが)、はっきり嘘とわかる設定を使っていながら現実オッケーと思わせる不思議な説得力とかが異なる配分でブレンドされていて、どれを読んでもはっきり違う作品なのにそこはかとなく漂う「らしさ」があり、読む度に一筋縄じゃいかない作家さんだという思いを新たにするのです。
今期の作品はさる大手出版社で定期開催している掌編コンテストに入賞されたものでしたが、これはスナップの効いた日常点景という風で、この字数だからこそできる軽やかな帰結が鮮やかです。寂寥感のある微妙なショートコントという趣もありますが、人生の渋味を自嘲的に笑える(ある意味大人の、ある意味歪んだ)感性がないと、なかなか面白みは感じ取れないのではないでしょうか。(とむOK)
参照用リンク: #date20080131-222757
甲と乙との関係を説明し、片方が片方のことをどう思っているのか、
それがどのように変化したのかあるいは変化しなかったのか、
というような話からどうやって予定調和感を消すか、
という問題があると思うんですが、これはその問題をクリアしている
と思いました。
会話の使い方が技巧的。(三浦)
参照用リンク: #date20080129-010922