投票参照

第63期決勝時の、#16終末農園(朝野十字)への投票です(4票)。

2008年1月8日 17時21分30秒

 予選で推した三作のうち残ったのがこれだけだったので、必然的に決勝でも一票入れさせて頂きます。
 紅茶を飲む話も、よかったです。抑えた言葉から、この男性のたたずまいまで想像できるかのようでした。でもやはり、このマリアージュの女性と何か接点をあげたいな、と思いました。千字では当然無理だとわかりつつ。
 壊れたギターの話は、たぶん私に基礎的な知識が欠けているのでしょう、よくわからない所がありました。リンクを張ってくれた票感想に、感謝、です。あと、350でも口でしてくれたのね、って、これは小説の感想じゃないですね。ごめんなさい。(海)

参照用リンク: #date20080108-172130

2008年1月7日 21時11分54秒

まったく対象読者が異なる作品が残ったものだと思います。
なぜ私が「終末農園」を選ぶかというと、こちらの種類のほうが好きだからと言うしかありません。
ブラックで不条理なものが好みです。

参照用リンク: #date20080107-211154

2008年1月6日 18時19分9秒

どうしてトウモロコシが人間型になったのかのくだりが僕にはちょっとよく理解できませんでしたが、でも面白かったです。
こういうブラックさはいいと思います。

参照用リンク: #date20080106-181909

2008年1月4日 12時9分6秒

「パリの紅茶」

 この「短編」というサイトの、というよりは、このサイトに参加することの意味は、小説を書く、こと以上に、小説を読む、ことを知り、学び、鍛えられることにあるような気がする。
 予選時に、とくにこれといった感想を持たなかった作品が、決勝に残ることで、もう一度読み直してみる。すると、ああ、なるほどな、これはなかなかいい作品だと思い直すことがある。いったい私は、何を読んでいていたのか、と。
 「パリの紅茶」もそうだった。
 このタイトルも秀逸で、「パリの紅茶」という遥か遠くのしゃれた街という感覚と、いま男がいる現実として「日本の紅茶」がある(リプトンはにほんじゃないかもしれないが)。といっても、もはやパリは数千円で男にも買えてしまうものではあるが、ティーバッグの安易で簡便な、いわば「贅沢な時間」を節約した形式のものと、それなりの手間ひまと器具を必要とする茶葉によって、「パリ」と「日本」が、つまり「贅沢な暮らし」と男の「現実」が、お金を出してしまえば手に入るもの、ではない、ことを示している。
 ただ、(これは個人的な好みの問題だと思うが)ブログによって男の日常にかすかな変化の兆しがみえたにも関わらず、微妙な味わいであるとはいえ、結果的に男の日常に変化がないことが、物語の魅力を失わせていると感じる。男は結局、変わらないままではないのか。
 男は、日常に満足していないにもかかわらず、そのことに対して、目を向けず、このままティーバックの紅茶を飲み続けるのだろう。私には、そう読めた。無理をしても、失敗をしても、パリの紅茶を飲んでみる物語のほうが、私は好きだ。

「ラプチャー」

 この作品について何かを書くというのは、難しい。書けば、おそらく欠点を羅列することになるが、それは、この作品がひとつの完成型であるからだ。ひとつの完成型に対して、重箱のすみをつつくほど簡単なことはないし、それは私のやりたいことではないからだ。すごく良くできているとは思わないが、魅力ある作品だと思う。
 つまり、完成しているので、なにか言いたいことはなく、あるとすれば、この作者なら何を書いても魅力だろう。ということだ。30枚ぐらい書いて、どこかに応募すればいいと思うんだけど、売り物としては難しいかもしれない。ミステリーのふりして、メフィスト賞あたりならいけるかもしれない。
 野暮な作品解説はできないが、ひとつリンクを張っておく。関係ないかもしれないが。
 http://www.youtube.com/watch?v=m5z9789Tbss
 まさか短編経由で、音楽を買うはめになるとは思わなかった。


「終末農園」
 今回、決勝に残った作品は粒ぞろいだったが、そのなかでも、投入されているアイデアの量が違うこの作品が、一番だと思う。部長のキャラクターも作品世界にあっていた。
 ただ、「会社はトウモロコシの安定供給以外に興味がなかった。トウモロコシ栽培はアウトソーシングされ分社化され株式は多様な金融商品に組み込まれ、この工場がどうなろうと本社には影響ないようだった。」
 会社が安定供給に興味があるなら、工場はかなり大切なはずでは? 会社を国、トウモロコシを米、安定供給を現状維持の保身、に置き換えれば、どこかの国への風刺になるが、それではおもしろくないか。ただし、金融商品に組み込まれなど、時流をとらえたギャグはおもしろい。
 問題は「終末農園」という平凡なタイトルと、内容にも新しさがないことにある。読んでいて楽しいし、よくできているけど、なにか物足りない。


 三作(あるいはその他の作品)に共通することだが、物語の終わりが、いかにもとってつけたようだ。最後の三行で意外な展開があれば、と思うのは、要求が高すぎるだろうか。

参照用リンク: #date20080104-120906


編集:短編 / 管理者連絡先: webmaster@tanpen.jp