投票参照

第60期決勝時の、#5蜜柑(森 綾乃)への投票です(2票)。

2007年10月5日 21時2分2秒

 予選通過作はどれも面白く読ませて頂いた。千字でいろいろなことが出来るものだと改めて感心させられた。中でも『蜜柑』が、自分には最も親しく感じられた。改めて読んで、擬音語・擬態語が多用されているせいかと思ったが、孤独を掌に載せて測るような繊細な感覚は独自のものがある。ちなみに芥川龍之介に同じ題の有名な作品があるが、それを連想するとなお興趣を覚えるかも知れない。
 『保険金詐欺(略)』は、まあ色々と反則だなという感じはあって、たとえばこのタイトルは一文めにつなげて読むのであろう。上等の反則感は小説の一つの武器であり、この作品の場合は好感の持てる太々しさであったと思う。
 三作のうち、背後に隠しているものがいちばん大きかったのが『彼方』であろうと思った。『保険金詐欺(略)』も確かに前後の事情によく判らぬところはあるけれども、それは判らぬままに放っておくべきもので、書かれた部分だけを読むよりないが、『彼方』は書かれていない事柄に連想を誘う、その力が大変強いと感じた。なんとなく中上健次を連想した。(海)

参照用リンク: #date20071005-210202

2007年10月1日 19時19分56秒

最後の人工の甘さ(誤字ですよね)という語の比喩で綺麗にまとまっているなと感じました。1000字の中にいびつな蜜柑と艶やかな缶詰、醜さと優しさがこめられているのにもかかわらず読みやすく、感情移入もしやすかった作品だと思います。

参照用リンク: #date20071001-191956


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