第53期予選時の、#21秘密(長月夕子)への投票です(5票)。
美しいものの美しさを表現することは難しい。ただ「それは美しい」と書いても、読んでいる我々には本当にそれが美しいのか判断することはできない。この辺りが小説と映像を分ける重要な要素であると思う。たとえば映画であれば、手タレなどの実際に美しい手を写せばそれで事足りる。
『母の手はただただ白く細く、影すらないほど完璧だった』これだけではまだ弱い。しかし、『真一』の美的感覚(『この花にはこれくらいがちょうど良い』『女の唇はこうあるべきだ』『汚れないということは美しさと違うということ』)によって、その美しさは確かな説得力を持つ。小説はこうでなければならない。
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ラストの血の意味するところが下宿屋の娘の処女喪失の暗示だけなのか、それとも真一と母との近親相姦があったということも含んでいるのか(そして母の死も?)、そこがちょっと分からなかったのですが、とにかくもう文章が上手いな〜と。そして独特の世界観があるな〜と。
参照用リンク: #date20070219-145020
長月さんの書く文章はとても女性的(上手く言えないのだけれど)で好きです。そこはかと匂いたつ色気みたいなものを感じます。女学生と居候(?)の今後の何とも言えない耽美的な展開を勝手に想像してみたり。三浦さんの作品と同じく映像がはっきりと(モノクロで)見えてきます。(公文)
参照用リンク: #date20070212-235439
それは画が美しいと言って済むものではありません。すべてが、それでも足りない、存在そのものが美しいのです。(黒田皐月)
参照用リンク: #date20070212-230035