第43期決勝時の、#23小鳥電車(紺詠志)への投票です(3票)。
好みで選ぶと「小鳥電車」なのですが、「ながめせしまに」「上空」の前人未到な方向性にも強く惹かれ、迷いどころでした。
迷った末に、やはり自身の嗜好に基づき、「小鳥電車」を押します。
参照用リンク: #date20060322-224424
このインコは彼女が飼っていたものかどうか、という疑問を呈したところ、北村さんに「「彼女」の前にも色々な人の肩を転々と移動していた」という読みを示されて、うーんそんなものかと思いながらもまだ納得がいかないような気がしている。
納得がいかないままに、それでもこの作品に惹かれるのは何故かと考えてみると、語り手と彼女とインコの三者がかもし出す雰囲気がいいのだと思い当たった。
語り手も一度はきっと、インコの科白を彼女の境遇と重ね合わせて考えたことであろう。しかし実際のところはわからないのである。考えてみれば、人は他者の身の上をすべて見通して付き合っている事はすくないもので、隠された部分が必ず介在している。そのうえで成立する空気感がよく捉えられていると思った。明らかに書けない部分があってもいいのが小説なのだと、改めて気づかされたような気がする。
参照用リンク: #date20060322-113337