第42期予選時の、#26君のスプーン(テフ)への投票です(7票)。
純真で世間知らずでばかって意味のナイーブな「ぼく」世界が大草原の小さな家みたいに広がっている。うう可哀そう。ああ可哀そう。可哀そうな人見るの大好き。ホリエモン可哀そう。若干な。
例えばスプーンの発明に費やしたであろう三年間に、なにが起きたであろう。「ぼく」、はばかだからしくじってばかりだったんでしょうがよ。行の空打ち多用のテフテフさん、の作品、は省略の醍醐味に溢れてる。横溢して言外に散逸してる。三年間の時間を省略したことによって、また例えば(二回目)二人の関係の詳しい説明を省略したことによって、読者の想像力を刺激し、また「ぼく」のばかって意味のナイーブさ表現するのにも機能していた。すかすかしていたからね、なんか頼りないの。頼りない人はもてるのかね。どうかね。
頼りない感を表現するといった部分では、息継ぎの長い、一文の中でうねうね・ぐだぐだ・うじうじ・いんいん・めつめつする文も効果的だったのではないのかなと。そして海坂さんが掲示板で提案していた案ですが、約束をすると彼女が「ぼく」を裏切ってしまった感じになりませんかね。この話は悪人が居てはいけない世界です。誰も悪くないのに誰かが傷つけられる世界。
真面目で不器用。そんな若者の姿が思い浮かびます。真面目だけど不器用な人間は、現実にいると仕事遅いくせに真面目だからなんか叱りづらい、文句を言いにくい人間であると思うのですがどうでしょうか、「真面目で不器用」は現実世界においてはマスコットの様な存在、或いは居ても居なくても良い人、さもなくば悪気がなく悪いことをやってしまった人間がいちばん最も悪い人間だということでしょうか。哀しいですね、俺が。ただ真面目で不器用な人間は小説の世界では割と活躍してる印象。要するに、「真面目で不器用」はみんなの心の支えなのかもしれないですね。能率の敵ではあっても心の友。哀れで、すがすがしかったです。
彼女の為に作ったスプーンが自分の涙をすくう。本来意図していた役目とは違った部分で、何かが活躍してしまう。哀れさを強調する良い結びだったと思います。
参照用リンク: #date20060214-112751
他にも押したい作品はあるのですが、現時点で投票がされていないので、あえてこちらを選ばせていただきます。
スプーンから十徳ナイフみたいに、ザトウムシの足が伸びてきて、涙を拭っていくシーンが印象に残りました。一度すくった涙を落とせないし、涙は飲めないでしょうから、そのまま次々と足が出てきて、真珠のように拭った涙をぶら下げたまま主人公の周りでバランスを取っていくのです。足はゲジゲジのように主人公の上半身を包み、雨上がりの蜘蛛の巣のように空を映す。
参照用リンク: #date20060212-152013
着地が綺麗だったので。そんなすごい技は出してこなかったようだし、途中でたぶんここら辺に着地するんだろうなとも予想できた。それでも安心して見ていられた。
参照用リンク: #date20060130-004111