第42期決勝時の、#24裸夜(宇加谷 研一郎)への投票です(5票)。
まるでトレンディードラマのような生活様式に軽い反感を覚え、コンソメスープではなくて、残りものの味噌汁を温めるとかであればよいのにと思ったりするのだけれど、
「あの頃は図面でしか知らないことがたくさんあった、と思った。冷えていた箇所が次第にぬくぬくとしてくるのがわかる」
のところがとてもよかったので『裸夜』に一票。
参照用リンク: #date20060222-231958
いろいろな人が述べているように今期はそれぞれに面白い作品が揃った印象で、予選通過作もまた優劣つけがたい。明日投票すればまた別の作品を推すことになるかも知れない。
宇加谷さんは、第九期から参加されて、二十八作めにして初めて決勝に残ったわけである。――これだけのことが即座に判るだけでも『短編』の作家・作品管理システムは卓越していると言わねばならない――その間必ずしも芳しい評価は得られなかったにもかかわらず、自分なりの作品を模索しつづけた努力を思うと、今期は報われてほしいものだという気がする。
作品としても、今期はこれまででいちばんよいと思った。しばらく続いた「ブックバー」ものでもそうだが、確かにこの作者はいささか固有名詞に頼りすぎることがある。今期の票感想の中でも指摘されていたが、私も「ビング・グロスビー」「福原信三」など知らないので、話が通じない感じはした。
それでも、ここでは一つの小さな(それ自体ほほえましい)エピソードでもって、生活の気配が確かに表現されている。この雰囲気は夫婦のようでもあるが「夫」「妻」と書かず「男」「女」と書いてあるあたりがまた、二人の関係のありようを想像させる。たぶん共働きで子供はなく、都会の上等なマンションにでも住んでそうである……何か物語が始まりそうな、豊かな可能性を感じさせられる。(海)
参照用リンク: #date20060222-183743
文章の息継ぎが、おもしろいなぁと思った。
何度も読み返しているとはまってしまう感じがする。
ほかの作品もどれもよかった。
それぞれの作品に対して、少しずつ何か言いたい気になってしまう、ということは、作品へののめりこみ具合が「裸夜」より薄いかなと思った。
参照用リンク: #date20060220-201453