第40期予選時の、#34風の男(P)への投票です(5票)。
上手い。抑えた表現が想像力を掻き立てる。トレンディドラマ全盛のバブル時代はもとより、現代の「ちょっと古臭いような友情ドラマ」に巧妙に隠された恋愛至上主義を、上手く皮肉っている。「世にも奇妙な物語」なんかに見るような構成である。
他に、気になった作品をピックアップ。
2 いのち 千葉マキさん
「小説ではない」のだろうが、随想としては十分共感できる作品になっているのではないか。辛い経験や思いをこうして書き記すというのもまた辛い。書かずにいられなかった気持ちが伝わる。書くことで少しでも楽になれるならいいと思う。
4 本の番 八海宵一さん
いい。逃げ出す文字っていうのは「蟲師」というマンガで見たし、新規性の高い設定とは思えないけれど、最初から最後まで爽やかに読める。文学好きなら一度は見たい、くすぐったい図書館の妖精の夢。
6 未来 逢澤透明さん
人の小説を読んだときに素直にこう言えるって素敵。小説だけでなく、後ろの作者を見ているのがわかって、とてもいい。
15 けずりたガールヤスリちゃん カズマさん
これは面白い。ライトノベル系エンターティメントとして考えるとキャラクターが生きてる。これを読んだら続きを読んでみたくなる。でも、残念ながらこれはイントロダクションであり、小説として完結した作品ではない。
26 99 qbcさん
「足りないくらいがちょうどいい」生き方に納得。人物をもう少し濃く書くならば、「無気力な未来社会から最後の気力を振り絞って過去に跳んだ老人」と、「奇妙な白衣を手に入れてこれからなんでも創れると鼻息粗い若い科学者」というように対比を強くしても面白いだろうか。しかし、やりすぎると作品の淡々とした雰囲気を壊す気もするし、迷うところである。真面目な話、描き方も足りないくらいがちょうどいいのかもしれない。
27 イブの夜 宇加谷 研一郎さん
涙が枯れるっていうのはよく聞くけれど、目が冷える、っていうのは初めて聞いた。いわゆるクリスマスイブらしいわかりやすい幸せについては、いろいろ意見も分かれるところだと思うけれど、個人的にはブックバーのシリーズで最も好きな作品である。「レモン・ハート」のような酒場人情ドラマシリーズを髣髴とさせる。単品の小説として読んだ場合、展開をブックバーに持ち込まない方法もあるのではないかと思うのだが、それはそれ。
31 全身散霊 くわずさん
「ストーカー」?
参照用リンク: #date20051213-004141
恋が人々を支配して、恋をしないものの価値は無い。
未来の恋愛至上主義や、女優の名を挙げて逃れようとする手も、なんだかありそうな感じがします。
いや無いか。
参照用リンク: #date20051127-210711