第40期予選時の、#22父(川島ケイ)への投票です(4票)。
心にしくっと沁みる作品であった。日ごろ漠然と意識してきたことを、形にして示してもらったような気がした。家族であって同時に一人の人間であるというような認識は、ある程度年を取らねば生まれないものだと思う。
店に陳列されたネクタイは、代わりがいくらでもあるモノの世界の象徴であろう。それに掛け替えのない家族という存在をさり気なく対比させている。
こうしてみると、常人としての感情を、しかも深いところで表現するのは難しいものだと思う。このごろは社会もそうだけれど、妙に殺伐で、しかも殺伐でありながら栄養不良みたいにバッタリ倒れるような作品が今期は目立つ中、普通の人間の心情とはこういうものだったと安心して読めたのはこれくらいである。もちろん、異常を追求するのも、文学の機能として大事ではあるのだが、普通がわかっていないと異常の本当の意味もわからないだろう。
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佐倉さんの「初雪」と同様の感想を抱いた。飽き足らなさはある。が、ともかく、心に沁みた、としか書きようがない。(でんでん)
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