第40期決勝時の、#32消しゴム(曠野反次郎)への投票です(4票)。
迷いつつ一票。今回決勝に残った作品はどれもかなりの完成度を持っていて、一つに選びがたかった。迷ったのはそればかりでなく、これら作品を十分に読み込んだという自信がないまま投票するからである。
それにしても「消しゴム」は、読めば読むほど味が出る。さらっと読んでしまうとありきたりの少年向け小説のようだが、日本文学の底流に脈々と流れる、少年期の真実を描く作品群と共通するものがある。また表現にも随分趣向を凝らしてある。この感性は氏の他の(性描写がきつく一見下品に見えるような)作品に通じる磨きぬかれたものである。この愉しみを知らないのは勿体無いのではないか、そう思わせる作品である。
参照用リンク: #date20051220-222952
名前という逃れられないモノに悩まされる主人公に何故か共感したりしました。
国語の問題に出そうってくらいのハイレベルな物だったので投票。
参照用リンク: #date20051217-181853
三作品とも良かった。
#34は地の文が前半と後半で乖離した印象を受けたために選から漏れた。後半が好きだ。筋もとても好きだ。
#6は
> 私はときどき考える。小説とはなんだろうか、と。
> それは本当のことではない。けれども、それは本当のことでなくてはならない。
の部分以外はすてきだと思った。この二行があるために、まとまりのなさを感じさせられる。この二行が具体性のある記述と書き換えられていればこれを推したかもしれない。
というわけで今回は、素晴らしくもカラッとした最終行を称えるために#32を推す。
参照用リンク: #date20051217-041212