第33期決勝時の、#7樋口 藍(桑袋弾次)への投票です(3票)。
男たちが、目的を達成するためにはどう見てもまずい行動を取り続けるところがツボでした。セーラー服を取り出したときにごくりと唾をのんだりとか、突っ込まれると沈黙したりそわそわと灰皿を捨てに行ったりとか。「おれたち、セーラー服じゃなきゃだめなんだ」はぶっちゃけすぎです。
「短編」にはもっとエンタテインメント分がほしいと常々思っているのですが、今期はこの作品がそれを一番満たしてくれました。
参照用リンク: #date20050522-225941
予選では後半の作品に目が向いていて投票しませんでしたが、改めて読み返してみるとこの作品が最も楽しく読めましたので、投票させていただきます。…半分は、私が投票しなくてもきっと決勝に残ると思っていたというのもありますが。
惹かれたのは店員の皆さんです。藍ちゃんにどうやってセーラー服を着て貰おうか。どう説得しようか。頼もうとしてることがしょうもないことだと半ば気づいていながら、それでもうやむやに、強引に目的を達成しようとがんばる皆さんの姿が強烈でした。
その他の作品について。所詮読解力の甘い素人の意見ですが。
大きな魔法のじゅうたん:作品全体としてはとても好きです。でも、「ブランコ」と後半の繋がりが読み取れませんでした。また、「球の中か外か」というくだりはなくても良かったのでは? と思ってしまいました。
心臓:「『心臓』を求める」ことにどんな意味があるのか、を考えながら読もうとしていたのですが、話を読み進めるほどに意味がわからなくなってしまいました。求めることに意味なんてないってことでしょうか。
「正常に脈打ちたい」はとても好きなフレーズでした。
蝶が飛ぶ日:構成はこの作品が最も緻密だったと思います。ただ、内股の痣の質問、自分ならこっぱずかしくて娘に聞けない! 娘に嫌われちゃう! という気持ちが強くてお話を素直に読めませんでした。強引な質問をする父親が読んだ後もしこりとして残ります。それも含めて、「娘と行き違う父親像」を盛り込んだのだとしたら、もう「参りました」としか言えません。
参照用リンク: #date20050517-035620