第32期決勝時の、#26人間の条件(るるるぶ☆どっぐちゃん)への投票です(3票)。
最初見たとき前期「二!人はとても『アタタカイ』?」の悪意のパロディかと思った。あんまりスクロールが長いもので。
それはともかく。人間の条件食べちゃったけど美味しかったって感じ、疾走して解放される感じ、この気持ちよさが何よりの投票理由でございます。
参照用リンク: #date20050421-222737
せっかく予選期間が伸びたというのに、忙しさに取り紛れて、全作品を読むことはできなかった。残念である。とりあえず予選通過作だけ読んで。
『荒物屋の怪』
おそらくこの「オバケ」は害を為すものではないのだろう。いわばトトロとかカオナシとか何とかみたいな、純粋無垢な子供と交感しつつ護ってくれるメルヘンチックな存在として与えられているのだろうけれども、幼子が居る家にわざわざそういう怪異を持ち込んで大丈夫なのかしらと少し気になった。「恨めしげな影が浮いている」というし。
考えてみれば五寸釘に憑いているというくらいだから、怨霊のたぐいであって何の不思議もないような気がしてきた。そうするとなお、語り手の最後の無邪気さはちょっと違和感がある。文明悪に対して無条件に善なるものとしての妖怪変化、というテーゼを単純に取り入れて成立している世界だと思う。
『人間の条件』
何だかよくわからないけど面白かった。「待て人間の条件」「待ってえ人間の条件」というくだりが特におかしくてつい微笑まれてしまうのであった。
更にその「人間の条件」を撃ち落として焼き鳥にして美味しく食ってしまうとは……それで何とも思わないやんちゃぶりが痛快。そんな深刻がった命題は、現実に存在している人間から見れば取るに足らないという事であろう。解放感を与えてくれる。
『白き魔物』
「兄弟」が人間ではなくて肉食獣であったということを最後まで隠して引っぱることを主眼とする、基本は落ちものと見た。加えて少年読み物ふうの文体を工夫したこと、そしてテレビの自然番組のパロディのような内容、で支持を集めたのであろう。
私からすると、結局は「つくりもの」という印象であった。母親とはぐれて死ぬような幼獣は、そもそも自分で狩りなんか出来やしないと思う。
『道の途中』
雰囲気があってなかなかよかった。「今日の面接のシーンがフラッシュバック」など、あからさまに説明せずに暗示する技法を駆使したという感じでいろいろ考えさせられた。「私の頭にある想像が浮かんだ」という所は、私もたぶんこうだろうという想像をしたが、それはどちらか――つまり「奥様」の話か、話者の語り――で示してもよかったのではないかと思う。好みの問題かも知れないけれど。
参照用リンク: #date20050421-211303