第31期決勝時の、#9月下美人(長月夕子)への投票です(6票)。
今期決勝に残った三作は、それぞれに違った個性をもち、しかもいずれも一つの作品として読むに耐えるもので、大変よかったと思う。
「プルシャ」という言葉は耳慣れないが、どこかで聞いたことがあると思って、ちょっと検索してみたら、なんでもインド哲学方面の語であったようだ。よくわからないが、世界のはじまりに存在していた原人、あるいは魂・精神という概念であるらしい。
それはそれとして、この作品を理解するのにそう役立つとも思えないが、作品そのものは面白く読んだ。「わるい親父だなあ。(そこがいいのですが)」の一言に尽きると思う。
『最後のひとり』も、文章構成ともなかなかよく出来ていたと言っていいのだろう。ただ細かい所で取りこぼしている部分があって、共感しきれなかった。たとえば、地球で「生き物が最後の一体」になる時、それが人間とは限らないのではないか。あるいは「悪人がはびこる」「税金がとられる」「好きな女にはふられる」というのが、再生を拒む理由としてはいかにも薄弱に感じられた。絶望の底が浅いといわねばならない。
ずいぶん悪く言ってしまったが、元来ショートショートというものに理解のない読者の意見なので、あまり深刻に受け止めずにこれからも頑張って書いてもらいたいと思う。
長月さんの『月下美人』を推すことにした。本来はもっと長く書くべき題材と思われ、どこを刈り込んでどこを残すべきか悪戦苦闘という様子もうかがえたが、現実的な題材をとりあげて、現実の枠の中で読めるものをしっかり構築しようとする姿勢を評価したい。全感想など、ふだんの作者の積極的な活動も含めて、応援したい思いで一票を投ずる。
参照用リンク: #date20050321-114347
この中ではこれ。
しごくささやかなことですが、三点リーダー(…)は二つ重ねってないと読んでてひどく違和感を覚えます。まぁ印刷物でのルールなので、ネットの文章ではあまり気にしない方がよいのかもしれませんが。
参照用リンク: #date20050315-160340
月下美人の花は、たった一晩の為に一気に咲き上げ、その美しさを誇ります。彼女も彼に会うべく待ちわびた夜に、彼女の隠し持っていた美しさを咲き上げ、誇ることでしょう。
参照用リンク: #date20050310-085753