投票参照

第261期予選時の、#2怪物と人間(euReka)への投票です(3票)。

2024年6月27日 21時48分39秒

語り手が自然に怪物のことを見下しており、語り手に都合のよい言動を一方的にする怪物に対する違和感が、怪物が「人間になれた」というエピソードでぐっと前面に出てくる。奴隷制や家畜を想起する。

参照用リンク: #date20240627-214839

2024年6月15日 18時43分27秒

 改行を挟んで8つの塊に分かれています。1つ目から順に、起、承、承、承、承、転、承、結という構成になっていますが、8つ目の「結」が「転」の要素を多く含む、ショートショート的なものになっています。
 登場する「怪物」については、

 ・人間の五倍ぐらいの大きさがある生き物
 ・人間の言葉を理解し、自らも話すことができる
 ・痛みを感じない
 ・傷付く心がない
 ・農作業や土木工事などでよく使われていた
 ・語り手の実家にいる怪物は何百年も前から使われている
 ・飼えなくなった場合は、研究機関に引取ってもらう、もしくは飼い主が殺して処分する
 ・怪物を見世物にして商売している『怪物王国』という施設がある

 以上のことが明らかにされ、牛や馬のような使役動物だということがわかります。
 一般的な使役動物と大きく異なるのは、言語を用いてかなり正確な意思疎通が図れること、そして(身体的にも精神的にも)痛みを感じないこと、とてつもなく長生きであることです。
 さて、語り手はこんなことを語っています(5つ目の塊部分)。

   私は東京でいつもイジメられているけど、たまに田舎へ帰って怪物と話をしていると少しだけ自分を取り戻せる。

 語り手は、両親の死によって怪物を手放すことになります。自分を取り戻す機会を失ったのです。しかし、怪物を手放した語り手は「もう怪物のことは忘れて、自分の人生を生きることを一番に考えよう」と語っています。怪物を手放すまでに「いろいろ悩んだ」語り手は、怪物がいなくても自分の人生を生きられる人間に成長していたのです。
 怪物を手放してから数十年後のある日、語り手は人間の女性に変貌した怪物と再会します(そう、怪物は長生きなのです)。怪物は「今は人間になれて、あなたが怪物のあたしを捨てたときの気持ちがやっと理解できて……」と言っていますので「傷付く心」が芽生えたのかもしれません。
 ここで注目すべきは、怪物が「あなたが怪物のあたしを捨てた」と表現していることです。語り手は『怪物王国』が「酷い連中」であると知った上で、怪物を引き渡していました。この行動は、語り手の成長に関係があったのでしょうか。そして、その行動の気持ちがやっと理解できた怪物は、語り手に何を語るのでしょうか。謎を残して、物語は幕を下ろすのでした。

参照用リンク: #date20240615-184327

2024年6月14日 11時4分35秒

長年付き合ってきた生き物との付き合い方の変化による苦悩、別れ、再会の意外さ、併せて不思議な読後感で楽しめましたね。

『ローリング・ストーン』は、蝉絡みの著名な俳句を六作、独自の解釈を添えて並べることで、幽玄な世界に導いてくれました。ただ地の文のカッコ書きの注釈は、効果の演出の為に意図的にされているのだとは思うのですが、読みにくく、そのたびに読む流れが中断され、全体を楽しむことができなかったのが残念です。

『舌』は、これを指で”手をつないだときの感覚が〜”という展開にすれば、センシティブな内容にせずに済んだかと思うと、ちょっと残念でした。

『遠いところから、遠いところへ』は、私も人からズレているとよく言われるので、展開や結末を楽しみにして読んだのですが、迷宮に取り残された感じに終わり、理解できなかったのが残念です。

参照用リンク: #date20240614-110435


編集:短編 / 管理者連絡先: webmaster@tanpen.jp