第248期予選時の、#7海欲し(テックスロー)への投票です(2票)。
浴衣に着替えて向かう大浴場や、焼酎のお湯割りや、朝食バイキングなどのリアリティが土台の確かさとなって、肌を転がる海の玉の滑らかさや血のような太陽が海を蹂躙する様を想像することができる。そして、それらの土台が崩壊する最後の開放感もすごい。全然わからなくても楽しい。「脱ぐのももどかしい」で私の期待にあふれる心情まで伝わってくる。
参照用リンク: #date20230529-214756
旅情あり、怪しさあり、怪異あり。
ぎりぎり保てていた現実世界が、梅干(海干し・海欲し)の咀嚼で弾けて、口の中に潮辛さが満ちるようなラスト。女将も効いてるし、旅館の朝のバイキングの雑多な感じもいいし、浴衣のまとわりついた人間からトビウオへの変化もいいな。海の表現も面白かった。ラストを読むまでは比喩として、ラストを読んでからは直喩として二度楽しめた。
参照用リンク: #date20230512-205738