第240期決勝時の、#3魔法使いの末裔(たなかなつみ)への投票です(2票)。
#4はテーマに対する切り口や見せ方がうまい。各登場人物(人物?)の意見の違いがネット上で見かけるレッテルを想起させ、読み手に内省させるよう自然と促しているように感じた。他の方も書かれているが、どの意見も同じだけ気持ち悪く、他者との隔たりを浮き彫りにし、相互理解という考え方自体もまた気持ちの悪いものであることを示唆しているように思う。本作はほとんど鼻につかないものの、題材の関係上説教くさく感じてしまうのが難点。あとはラストの「猿は。」の言い切りが投げに感じられてしまった。
#10は1000字にここまでSF的背景とドラマを詰めこんだ手腕が見事。思わず読み手がつっこみたくなる遊びも楽しい。若き日の色恋沙汰におけるひとり突っ走って自爆するパターン、苦い思い出を蘇らせてきてなかなかにきつい。わかってて書かれているだろうけど、解決法について一枚岩云々で終わらせてしまうのがどうしても引っかかってしまった。
#3は能力の見せ方、親との関係性の描写がよかった。まっすぐな視点とその危うさが、思春期あたりの少女の語りとしてしっくりきた。一方で予選にも書いたが、ニンゲンやタダシイのカタカナ表記がうるさく感じた。そこも語り手の属性に繋がっているのはわかるが、通常の表記であったとしても本作の魅力は損なわれないのではないかと思う。
というわけで、題材の好みによるところが大きいが、人物や関係性の描写が最も魅力的に感じられた#3に票を投じる。
参照用リンク: #date20221003-083245
この中では一番引っ掛かりなく読めた。
作中で経過した時間を主人公が確かに体感していると思えたのと、魔法使いの末裔であろうとそうでなかろうとこの主人公は揺らがないと感じられたのでこれに投票。
参照用リンク: #date20221002-071746