第237期予選時の、#11ここは時計の国(たなかなつみ)への投票です(2票)。
読みながら、昔懐かしい私たちのインターネツト()や、原爆を落としたアメリカの言い分、箱庭の幸せ、マジョリティとマイノリティなんかを連想した。閉じたものが開かれるとき、開かれる側は大抵それを望んではいない。ラストの反乱が、あくまでもマイノリティである彼らにとっての反乱であり、マジョリティにとっては抵抗にすらなり得ない、という残酷さがリアルだと思った。
こういう寓話的な物語を読むと、物語はそれを読んだ読者が考え、感じ、思い出すためのものなんだなと実感できて嬉しい。これは作者さんの押しつけがましくない語り、語りの距離感の取り方によるところが大きく、読んでいて安心する。
参照用リンク: #date20220624-123754
世界観は好みだが物語世界を味わうより設定の説明を聞かされている印象が強く、作者が「こんなもんかな」と手加減しているように感じられたのが心残り。世界を創る力はあるのに自分が創り上げた物語の力を信じきれていないように感じてしまった。
今回は作品自体への投票というより、もっと羽目を外した作者の暴走に振り回されたい期待を込めての投票。もっともっと物語に取り込まれて物語に酔いたい。
参照用リンク: #date20220616-193123