第237期予選時の、#10ガベージ・コレクタ(Y.田中 崖)への投票です(3票)。
とても映像的で漫画チックで楽しい。掃除ボットがヴィクトリアンメイド型だったりする、
全体的なレトロ感も楽しい。C と D のキャラとしての 、名前のつけられ方も含めた、
造形や力関係、その後の残酷な場景からの元通りなども、絵的にとても楽しめました。
参照用リンク: #date20220630-020434
マンガで読みたい。
擬人化したプログラムの世界観→ウィルス?の侵入→セキュリティプログラムの役割も兼ねていた、という転回がきっちり描かれていて、上手い。
たぶん、フェチズムのようなものがばっちりはまればこれだけでいいのだろうけど、もう少し何か欲しくなってしまった。
あと気になったお話。
#5 泡沫の如くに
最後の文がもっとぐっとこなければいけないのではないか。唐突に感じた。他者の価値観による「幸せ」を築いているが、自身に「幸せ」の定義がないことの不安。人間社会で生きるために擬態している自分の不確かさ、恐怖のようなものを勝手に受け取ったので、そういう不安は少なくとも「水死体」ではないのではないかと思った。
#7 雨あめふれふれ
実は雷様でした、という話なのだが、なんか真ん中くらいが分かりにくかった。捨て犬に傘をさしかける少女、さらにそれに傘をさしかける子供、という話の方が主軸なら、匂わせながら最後に語るのじゃなくて、実は雷様の話は最初にやってしまった方がスッキリするような気がした。
こういう突発的に見える善意の話は大好きです。
#9 放課後の神隠し
「キレイな景色が見える場所に行こう」というキラキラしたリア充感を感じる小学生10人が、既に現実よりも新しい人生に希望を感じている状況というのがわかる最後が最も怖いという。上手い。
参照用リンク: #date20220627-082422
この作者の電子世界ネタ、好きです。『サイレントメビウス』でレビア=マーベリックが全感覚を電子化して電子世界に乗り込んだシーンを思い出しました。
『雨あめふれふれ』は雷様母子のやりとりが楽しげでした。こんなふうに実際にゲリラ豪雨を反省してくれると良いのですが…。次回作にも期待しています。
『放課後の神隠し』では、十人単位で子供がどんどん神隠しに遭う山の傍には住めないな、と思いました。子供たちも、親を乞うて泣く子も一部で、翌日には諦めてすっきりしてしまうのが、やや怖い世界を感じさせました。
『パタニティブルー』は中盤以降の独白部分が長くて読みづらく感じました。用語としてのパタニティブルーは、マタニティブルーと同様に産後鬱であり、出産前に産後の生活のせわしなさをいろいろ想定していくことで軽減できます。かつての恋人などに拘泥している余裕はありませんよー。
『睡眠王』は…眠りの質が悪くて日中頭がすっきりしないのは本当に恐ろしいことですね。普通は寝るのが遅くなり、朝が起きられなくなるものですが、逆もあるようで、また国内にいながら時差ボケのような症状に悩まされることもあるようです。「ジりりりり」の”り”が平仮名であることと、数字が全て漢数字表記なのも表現として興味深く感じました。
『私が総理大臣になったら』は、英語を含む世界の諸言語で敬語表現があることをご存じないようなのが残念です。外来語にカタカナを用いないのであれば、ローマ字ではなく、元の言語の表記を用いるのがよいでしょう。アルバイトはドイツ語で、キムチはハングルで、トムヤンクンはタイ文字で。外国にばかり目を向けて、身近な人々の生活の利便性を省みないのも残念ですね。
参照用リンク: #date20220616-104514