第235期予選時の、#3二月十四日(吟硝子)への投票です(3票)。
短さの中に、流れるように二人の時間が、そして現在の心が流れている。
最初読んだ時、過去と現在が混同してよくわかっていなかった。読み返すと、現在ー過去ー現在として、きれいにまとまっている。
参照用リンク: #date20220424-212440
ありがちな筋立てだけど、全然そう感じさせない全体の雰囲気が好き。特に第2段落の生活感、ミントの香りや描かれていないがラム肉のにおいや、テレビの声が作る生活感がしっかりと物語を補強していて、最後のサゲが来たところで物語の大筋がひっくり返らないようにしているのが素晴らしい。こういう丁寧な物語は悲しさを無駄に全面に出したりしないのがいい。
その他気になったもの
#5 あと6センチの夜
轢死した先輩との漫才のようないちゃいちゃに、クレイジーさを感じた。「奇跡的に原型を留めていた彼女の穏やかな表情」から逆読みしてしまうのは「当たり前のようにぐちゃぐちゃな四肢」で、事故の残酷さを勝手に想像してしまってるだけだけど、ラノベっぽいやり取りが進めば進むほど、そのぐちゃぐちゃが頭に浮かんでなんとも。
#8電子海
私があまりSF慣れしていないため、後半はあまりついていけなかったけど、
>怪しさよりも好奇心が先に立った。一本咥えて火をつける。
> 俺は南の海にいた。
ここがすごくよかった。
参照用リンク: #date20220417-163648