第235期決勝時の、#8電子海(Y.田中 崖)への投票です(2票)。
迷ったけれど、情景が思い浮かんで、開放感が感じられたこの作品を推薦します。
ガンガン肉体で闘っていたマトリックスもそうだけれど、全てが電子の海の世界観こそ、たばこやおっさんといった肉感が強調されますね。惜しむらくは、世界観や主人公を駆動する感覚について、テンプレを超えた新鮮さのようなものが欲しかったです。
「二月十四日」もよかったです。ただ何度か読むとあらさがしのようになってしまいました。もし語り手が亡くなっていたとしたら、日付を超えたら喧嘩をしない、を守り続けるってどういうことだろうとか、仏壇?に手を合わせるというのがこれまでの雰囲気とあってない気がするとか。情景が一変する、というのはそうなのだけど、生と死の逆転以外の効果はいらないなと思ってしまう。ミントやラム肉やチョコレートの雰囲気が良かったので、そう思うだけかもしれません。
参照用リンク: #date20220508-171652
#8 「電子海」を推薦。
アラがあるとしたら「中肉中背」の情報が要らなくて、二人が立ってるのか座ってるのか、灰皿はどんな形状か、皿か、スタンドかの方が想像に必要。書くならば、主人公より高いのか低いのかだけでいいかな。
地味な現実世界を厚めに描写したあと、世界観を二転三転させて、世界に風穴を開けていて気持ちよい。その映像が派手だが、想像しやすい景色をチョイスしているので、エンタメに留まっていて、芸術的すぎないので読みやすい。
#3 「二月十四日」
語り手の女像があまり好みでない。赤い薔薇、セロファン、一輪、ラム肉、ミントソース、チョコの指輪。あまりモテない女の理想の男像に見えちゃう。昭和の少女漫画的な理想の恋人をしかも殺してちょっと自分と彼を美化してるような印象。でも、好き嫌いの評価ができるくらい、作者の世界が綿密に文章として存在しているのだと思う。
#4 「今田耕司」
多分これは今田耕司が代替可能だと思う。この文章の好感度が不思議と高いのは、取り合わせのバランスで笑わせようとしてる作者のサービス精神が伝わってくるからだと思う。
#5 「あと6センチの夜」
主人公の恋心を読み手に把握させただけじゃ少し物足りない。
#7 「そういうこと」
ヤツの恋心を読み手に把握させただけじゃ物足りない。
#9 「子どもを買って育てる」
予選の感想にもあったが、子育てへの過剰なプレッシャーから、少し解放するような効果を持つ創作物語かもしれない。
参照用リンク: #date20220507-132819