第232期決勝時の、#9会社のトイレの窓が低い(朝飯抜太郎)への投票です(2票)。
#4
シンデレラックス(という語を思いついた時点で勝ちだ)のあまりの美しさに悪役側までもが毒気を抜かれて戯れだす意外性を、数々のパワーワードを畳みかけることでテンポよく、おかしみたっぷりに描き出している。今期一番読んでいて楽しかった。
#11
拙作。詰め込みすぎ削りすぎ。ラスボス直前で終わっている点が物語として弱い。後半でアサノがひとりでに叫びだして書きながら笑った。ベタすぎ。
#9
冒頭一文の掴みがうまい。これから何を読まされるんだ? 日記? と思って読み進めるうちに、わけのわからない緊張感と焦燥感に襲われる。ただのトイレの窓がなんでこんなに怖いんだよ。意味がわからない。
日記みたいな書き出しと語り口により、彼の生きる日常が描き出される。「それだけの話」のはずの「トイレの窓が低い」という小さな違和感が、「魅力的すぎる」「これは扉ですよ」といった段階を経て徐々に決定的なズレに近づいていく。クライマックスは落ちた林田が実は語り手だったと判明するシーン。ここで日常がひっくり返され、語り手の信頼性が失われ、読み手の前提が覆る。今まで読んできた文章はどこまでが本当なのか? それは危うい問いだ。しかもその危うさは物語が終わっても続く。
腕をクロスするのは何か元ネタがあるのかなと思ったけどわからなかった。
というわけで、今期最もリアルさを感じ、手に汗握らされた#9に票を投じます。
参照用リンク: #date20220206-234522
高いビルや、展望台などで、一部床が透明になっているところを歩くアトラクションを思い出した。長期休暇に入らないところがいいですね。それが自分にどのような悪影響を及ぼすかわかっていても、もう少しでいけそうっていうときには、そっちに行ってしまう欲望。人のふるまいを見て、あんなこと自分は絶対にしないなと思いつつも、いざ自分がその立場に立つと漏れなくそういうことをする。答えがあるように思えちゃうから。
参照用リンク: #date20220205-073935