第225期予選時の、#5欠落者(志菩龍彦)への投票です(2票)。
クールだなあ。愛とは何かということを、逆説的に示しているように思った。ごろっと固まりのような愛というものがなくて、経験的に、積み重ねた喜びとか、思いやりとかを俯瞰して見ると、それが結局愛と呼べるものなのではないかと思った。でも、愛し合ってはいませんでした。妻が一枚上手は上手なんだけど、夫の心の底を知って、なお便利屋のようにふるまっていたのは、妻にとってもそれが便利だったからだろうか。愛してなかったといいつつ、やはり愛はそこにあったのではないか、などと、どうしても愛をそこに介在させたい気持ちになってしまう。そもそも夫は妻になんで最後に愛していなかったといったのだろうか。贖罪? 最後に懺悔したかったから? 妻に愛していなかったといわれて、そこで初めて夫に愛が芽生えたら……などと、どうしても愛がそこにあった方向で読んでしまいそうになるけど、それはこの作品に失礼だ。あくまで愛し合っていませんでした。クールだなあ。
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お見事と言う他ありません。1000字ぴったりで、ある意味最高の形の一生を描ききりました。つい隠していたことを言ってしまいたくなったのは長年連れ添ってくれた妻への感謝と甘えであり、その返事も、最後くらいは甘え返してもいいかという妻の感謝の気持ちなのでしょう。
参照用リンク: #date20210615-123548