第223期決勝時の、#7Brand new _(霧野楢人)への投票です(2票)。
#4
題材としては最も好みです。淡々とした描写が映像とあいまって凄みがあります。細かいところですが、「それは、ヒトの姿をしている無数の虫の塊である。」で個々の虫がヒトの姿をしているのか悩み、イメージが途切れました。
#5
意外性はありませんでしたが、ツリオジに対する語り手(を通じた読み手)の感情の動かし方がうまいなと思いました。最後に決して見えない水底のような彼の心境を想像させるところがぞっとしてよいです。
#7
美しい風景と心理描写。特に「息子にあれはカワセミだと教えなければ〜」の微妙な心の動きが、目にした光景の美しさも際立たせていてよかったです。それから最終段落の「新しい春だ。」の清々しさと強さ。読みながら風が吹き抜けるような感覚がありました。
参照用リンク: #date20210505-111635
文章から立ち上がってくる印象がとても強い。物語のアップダウンで読ませるのではなくて、描写された視界が訴えてくるものを、
読んでいる側が追体験させられる力の強さが、この作品の小説としての強さだなと思いました。
穏やかな前半から、腕時計→カワセミ→草花→腕時計、と動く視界に引きずられていく後半がとてもよかったです。
参照用リンク: #date20210505-084956