投票参照

第223期決勝時の、#4(たなかなつみ)への投票です(2票)。

2021年5月5日 18時5分5秒

無数の虫によって形作られたそれは、強いて言えば即身仏みたいなものだろう。
しかし即身仏の場合は、自分の意思でそうなったのだけど、この物語の「かれ」の場合、どんな経緯でそうなったのかが全く不明だし、そのことが想像力を掻き立てる。
しかし、いくら想像しても、納得できる答えには辿り着くことができず、結局その虫の集合体は、〈今そこにある変な何か〉でしかないと考えざるを得なくなる。
虫の集合体は、「かれ」の情念に呼応した超自然的なものなのか、それとも単なる奇跡的な自然現象なのか、全く分からない。
でも、分からないものを、ただ分からないものとして眺める態度というのは、案外心地よいものでもあると思う。

参照用リンク: #date20210505-180505

2021年5月2日 21時17分51秒

予選と判断は変わらず、「仏」を推します。
現実的な話ではないけれど、現場周囲の状況や住民の関わり方が描かれておりきちんとリアリティを感じた。
自分以外のものが自分を形作るというのは普遍性の強い現象だと思っていて、何なら健在する私という人間すら、第一に前にも後にも自分ではない物質の移ろいが為す動的平衡の産物(維持機構はあるにせよ)だし、毎日食べる食物、100兆といわれる腸内細菌、人格に影響を及ぼした環境や経験などがなければ存在しえない。生物の存在は、ある面ではそんな不確かで現象的なものではないだろうか。細かく見ればどんな存在もあってないようなものである(個人の感想です)。仮に縁起説や空性と結びつけるなら、身を呈してそれを示す「かれ」は仏的といえるのかもしれない。

「ツリオジ」は、語り手が独白したように寂しい話だと思った。
話の運びがしっかりしており、さらに流行りの番組を仕掛けにうまく組み込んでいて上手いと思う。
また、他の方の感想の話になるが、「人というものの適当さ」というのは目から鱗だった。

参照用リンク: #date20210502-211751


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