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第22期予選時の、#23さまよい街(曠野反次郎)への投票です(1票)。

2004年6月3日 19時57分0秒

これも同じなのである。『屏』と。アレンジが随筆風か綺譚風かの違いで。ってかこれは極めて次元の低い話で、今期ほぼ「作者の自己紹介」的な気色悪い小説が続出の中で、そういうなんというか箱庭治療的な自己目的めいた変な小説が横行するなかで、この3作(屏、花、街)は別格という意味ね。この3作品を他作と分け隔てるその壁が「他者性の有無」である、という次元の話で、で、同じであると。
この作品の固有の魅力について語るなら、偏に『それはこれから訪ねるはずの彼自身に他ならず、おおいと呼び止めた彼の顔がひどく驚いて蒼褪めているほどだったのはなぜだかまるで解からない。』というミステリアス(不思議、の意。推理小説がミステリーと呼ばれるのは本来、神の御業、の意でその語幹は「神」と同系)な感じにある。そのミステリアス性を演出する迷路感覚が抑制の効いた描写で、且つ、適度に高揚というか切迫というか追い詰められていく感じが、実によい。ボリュームの調節というかズームアップというかそういう遠近感が非常によく出ている。私が、「平面から立体へ」と評したその真意はここにある。

参照用リンク: #date20040603-195700


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