第22期予選時の、#21花を抱えて(るるるぶ☆どっぐちゃん)への投票です(5票)。
改めて読み返して、こちらも推薦。るるるぶ氏のいつもの作品だとあまり理解できないながらも「何故こんな文章がかけるのだろう」と感嘆するばかりだったのですが、今回はそのような目立った言葉の技みたいな部分は無いながらも、ものすごく短編小説らしい小説という印象であり、新鮮でした。
参照用リンク: #date20040608-235806
「二人で暮らすようになると安酒にはとても耐えられなくなってしまった」に男の見栄を感じる。
今期、これしかピンとこなかった。
「タイタニック……」も面白かったが、投票となればちょっと溜めらう。
参照用リンク: #date20040608-220234
高飛車な雰囲気と意外と弱そうな雰囲気が入り混じった中で、
色とりどりの花で飾り全て覆い隠そうとする彼女が素敵。
特にこの二つの文章がよいのです。ブラボーです。
「娼婦がセックスを嫌がっているのだから家にいても他にやることも無く、始終プランターに向かって水をぼたぼたと注ぎ続けている」
「旅行にでも行くか、と私が尋ねると、行っても良い、と女は答えた」
参照用リンク: #date20040607-221737
無い袖は振れないが、多少あったところでやはり怖くて振れない。ともすれば滅びの役割を期待されがちな花との対比で、それより早くあっさりと金を使い切ってしまうあたりに、創作の醍醐味や役割といったものを感じさせてくれる、読んでいて元気の湧いてくる素晴らしい作品でした。
参照用リンク: #date20040606-014826
これも同じやね。いやもうこういうのは資質やね。どうでもいい話だが小説家の資質があるということと、一般社会における日常生活でのこう、「いい人/わるい人」「有能な人/無能な人」とはゼンゼン関係なく、寧ろ、作家的資質なんて日常の市井の生活者には無駄邪魔な資質だろうがまあそういう話はおいておいて。この作品における男女には明らかな独立した個性というか人格というかそういうものが感じられる。だからダイアログが成立し、(形式的には対話でもその実態は作者という同一人格の代弁という)モノローグに堕していない。だからダイナミズムも生まれ、面白い。小説の基本といえば基本だが、最大の困難点といえば困難点ともいえる。
そういう「書き方の基本」以上に、話も美しい。タイトル『花を抱えて』であるが最初は女が花を抱えている。それがラスト【そうね、と女は答える。女の育てた花を見ながら、私達は料理を食べ始める。】とすることで今度はその花を男がなんかバトンタッチするみたいな感覚で抱えるというようなそういうニュアンスが伝わってくる。勿論、女を花に擬して、(擬して、まあその人生の同道者という意味での)「抱える」と意味的な感覚で捉えてもいいんだが、ってかそれが前提ではあるが、なんというか愛というかシンパシーというかそういった奇麗事で(言葉で)片付けて(表現して)しまいそうなそういうものを「花を抱える」(女が花を抱えている→次は僕がその花を抱える)という即物的な行動というか描写で表してしまうあたりがうまいし凄い。
才能開花といいたい。どっぐちゃん。
参照用リンク: #date20040603-195700