投票参照

第219期予選時の、#2お先に失礼します。(テックスロー)への投票です(3票)。

2020年12月19日 18時53分16秒

前半部分が秀逸で、にやにやが止まらない。
犬と猿と雉の個性が凄い。相手に応じて放たれる桃太郎の誘い文句が素敵。

参照用リンク: #date20201219-185316

2020年12月19日 17時54分36秒

どこかシュールな桃太郎で面白く、短編小説っぽい作品だと思います。
健吾と桃太郎の関係が切ない感じがします。友達だったのに、いつしかただついてきているだけの仕事ができない人になっている。ただ一緒にいるだけの純粋な関係よりも仕事を一緒にする関係の方が強くて、友情なんてそんなものなのかな、と思ってしまいます。

参照用リンク: #date20201219-175436

2020年12月15日 22時24分29秒

桃太郎アレンジ。一読してわかり、深く考えずに楽しめて、言葉の選択がこなれていて、千字作品として過不足がない。おそらく作者の意図するモノも書き切れている。
二週目を読めば、犬・猿・雉・桃太郎・健吾のキャラクターがある程度書き分けられていて、それぞれ「らしい」ことに気づく。雉と犬猿では描写の量に差があるが、これで問題がない。
三週目。桃太郎伝説の真実を書いたような話にも読めるが、やはり「今や友情以上の絆で結ばれている彼らの間に響く友だちという言葉の幼稚さ」という核心を突くような指摘がよく、健吾というキャラクターの内面の物語にも、人間世界で起こりうる人間関係の描写にも読める。雇用者・被雇用者という関係性の桃太郎一行の中に、「友達だからいるだけでいい」存在の健吾を投入し、その健吾も特に変化せず「いるだけ」であり続けて冒険を終えたのが面白い効果を生んでいる。「定時だ、お先に失礼します」のフレーバーもあって、桃太郎を社長としたベンチャー企業のスタートアップと事業安定後の健吾お荷物問題を扱っているようにも読める。
四週目。桃太郎も最初から健吾に物語を書くように指示した訳ではない。はじめは確かに「友達だから、いるだけで良い」だったのだ。桃太郎が変わったのは、犬が恩返しをしたいとついてきたときだろうか、献身的な犬と何もしない健吾の対比に愕然としたときだろうか、猿との契約との際に忠誠を誓わせたときだろうか、雇用希望者(雉)の希望を曲げてまでこちらの要望を通したときだろうか。それとも最初から桃太郎は変わらず、きびだんごの見返りにある程度の働きを健吾にも(友達だし)期待していたが、まさか健吾が本当に何もしないとは思っておらず、より具体的な契約の取り付けをするように変化していったのか。当初の約束を違えてまで健吾に具体的な労働を課したのはなぜだろうか。遅くとも投資したきびだんご分の働きを回収していたのか?それとも桃太郎は健吾を尊敬したがったのか。つまり桃太郎は犬猿雉と雇用関係を築いて心のつながりを得た経験を生かし、健吾に具体的で健吾にもできそうな仕事をあてがいその成果を評価することで結びつきと仲間意識を回復しようとしたのか。いずれにせよ、桃太郎は健吾の能力に失望し物語を外注している。
「それでも筆を止めない理由を問おうとする頭を叩くようにチャイムが鳴って」健吾が健吾自身に理由を問う自問自答だろうか。そうであるならばなぜ?というところで書き手は筆を置き、想像の楽しみは読者に委ねられている。私が感じた健吾のキャラクターで解釈するならば、桃太郎と当初交わした「何もできることはないが、ついていく」という約束を無意識に律儀に守っている健吾なりの無自覚な友情のあり方であるとしたい。定時にチャイムがなるような場所へ出社して物語を書いている謎は残る。

七色に読み味を変える作品で、まだまだ読み落としもありそうであり、読み手によって解釈も違いそうである。楽しみました。

参照用リンク: #date20201215-222429


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